院長&スタッフブログ | 医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック

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 去る7月17日海の日、駒ケ根文化会館大ホールにて上記演奏会が開催されました。たくさんのお客さんにお越しいただき、聴く側も、演奏する側も、演奏会を支えたスタッフも、みな笑顔になれた演奏会でした。
 静岡児童合唱団の団員、私の患者さんからご寄稿いただきましたので、ご紹介いたします。また、皆様からいただいたアンケート、私がいただいたメールや手紙からの声もご紹介いたします。

心の糧
   静岡児童合唱団  中二 一條桃璃

 よく晴れた日の早朝。私達の演奏旅行は始まりました。
 一日目。バスにゆられて無事に長野県に入り、まず光前寺に行きました。そこにはこもれびカルテット
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の方々も来て下さっていて嬉しかったです。霊犬早太郎をまつったお寺ということで、早太郎のお墓もみられました。その後、「こもれびの家」で頂いたお夕食はとても美味しく、緊張もほぐれました。そして、夜のリハーサルでは、ホールの響きに慣れるのに時間がかかってしまい、本来の実力を出し切ることが出来ていなかったように思います。実は、お夕食があまりに美味しく、ついつい食べすぎてしまっていたため、思うように声が出せませんでした。少し反省しています。
 二日目。いよいよ待ちに待った本番当日です。午前中の練習では、一日目のリハーサルでの反省を活かした練習が出来ました。これからは一日目からそのような練習が出来ることを意識していかなければと思いました。
 そして迎えた本番。私は日頃の練習の中で先生から「自分にとっての二百パーセントの力を出し切ろう」と指導を受けているため、それが出来るようにしようという気持ちで、自分なりに精一杯歌いました。
 合同演奏では、こもれびカルテットの方々や混声合唱団「明日歌」の皆さんと歌わせて頂きました。立
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体的なハーモニーを十分楽しむことが出来たと思っています。四月の演奏会の時には、こもれびカルテットの方々が静岡に来て下さり、今回は三ヶ月ぶりにこうしてご一緒でき、前回に比べると心にゆとりをもって楽しみながら歌うことができ、この音楽会が素敵な思い出となり、また自分自身の心の糧ともなりました。今回の演奏旅行は、何人もの素敵な方々に囲まれながら、自分を成長・向上させるきっかけの一つとなったと思っています。学んだことも感じたことも、ここには書ききれないくらい沢山あります。今回、共に素敵な音楽会を創りあげて下さった皆様に心から感謝申し上げます。
 また三年後に前山先生をはじめ、駒ヶ根の皆様にお会いできることを楽しみに、これから三年間、心を新たにして、練習に励んでいきたいという気持ちでいっぱいです。
 本当にありがとうございました。
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演奏会に対する全般的なお声

★芸術的な作品から、親しみやすい作品まで幅広くて良かった。
★合唱の表現力がこれほど豊かなものは初めて聴きました。
★今でも感動の鼓動が残っています。4回目の音楽会は、言葉にならぬ程進化(深化)していました。努力の過程が結実していました。
★子供からお年寄りまで楽しめ、時間の過ぎるのが早く感じ、良いひと時を過ごせました。アンコールです!
★子供と共に楽しめ、2時間しっかり音楽にひたりました。歌って良いなあと感じました。
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★3年後にここに座ることが出来るのか、夫と今回が最後と思って感慨深く聴きました。四度目の公演で、企画も構成も今までと違った垢ぬけた感じがしました。
★スタッフの方々皆さんで作り上げた音楽会で、いつも素晴らしいと共感します。3年後も楽しみです。
★「こもれびカルテット」という名前のように温かな優しい雰囲気のコンサートだったと思います。
★会場全員が参加できるものをもう少し増やしてほしい。
★静児の美しいハーモニー、こもれびの力強い歌声、明日歌の大ホールを包み込む歌声がベストマッチして、とても良い演奏会でした。
★また来年もやって欲しいと思うくらい、趣向をこらした充実した内容で、あっという間の2時間で楽しめました。
★唐沢先生の大ファンになりました。お話しも軽妙で良かったです。
★アイデア一杯の楽しいステージで、最後まで飽きませんでした。
★大人も子供も楽しめる合唱。楽しく心が洗われました。平和な時が続きますように。
★大人と児童の歌声が一つになるステージは圧巻の一言。色々な事情はあると思いますが、可能なら毎年聴きたい!(ご勘弁ください)
★こもれびカルテットと明日歌の合同演奏会をもっとやって欲しい。今回だけで終わらせるのはもったいない。



静岡児童合唱団・こもれびカルテットに対するお声

<静児>
★ピュアな声が心にしみ込むようでした。
★ウィーン少年合唱団のような天使のような声、感動しました。
★低学年のお子さんもいらしたのに本当に凄いですね。大人になったら、素晴らしい合唱団で活躍されるでしょうね。
★低中高音での素晴らしハーモニー、圧巻でした。
★バリエーションが豊かで素的な歌声!たっぷり楽しみました。
★初めて聴きましたが、響きの素晴らしさにビックリしました。
★こもれびカルテットの追っかけしてきて良かったです。静児に出会えたんですから。
★すごく難しい曲を、しっかり歌い上げていて良かったです。
★透きとおるような高音が心地よく響き、それを男声がしっかり支えていて、すばらしかったです。
★子供さんだけの歌声を聴いてみたかった。
★エチュードは個性が色々出て楽しめました。小さな体であの声量はすごいです。

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<こもれび>
★パフォーマンスがとても面白く、目と耳で楽しめました。子供が楽しめる選曲で、客を飽きさせない終始楽しめるステージでした。
★楽しい楽しい、そして美しい響き、これからも応援しています。
★大漁節、縄を引くパフォーマンス、素的でした。
★ユーモアたっぷりのステージ。会場全体がニコニコになりました。先生のお人柄が表れていました。
★あわて床屋笑えてストレス解消です。緊張の中にも力強い歌声で心に響く。さすが癒し系ですね。一服の清涼剤です。
★観客層を考えれば、余りクラシックに走るよりいいと思います。
★観客との触れ合いを感じる密着感が良かったです。
★カルテットのハーモニー、保育士さんの踊り、良かったです。


癒されて
      宮澤かずゑ

 待ちに待った、第4回すずらん大音楽会が文化センターにて開催されました。お隣さんご夫婦をお誘いしていそいそと出掛けました。暑い日差しの中、子供さんの手を引き移動の方々が会場の中へ吸い込まれていきます。受け付けのスタッフの方々も、笑顔で迎えて下さいました。いよいよ開演。前列のいい席です。
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 こもれびカルテットの皆さん表情筋豊かで、相変わらずユーモアがあり楽しかったです。選曲も良く衣装の早変わりも感動的でした。子供さん方にも大受けでしたネ。皆さん忙しい中で、メンバー心を一つにして練習し、音色を大切に、そして、ダイナミックに男声合唱を表現されている姿に勇気と安らぎをいただきました。
 静岡児童合唱団の皆さん、天使のようなやさしさと落ち着いた歌声で、山のせせらぎの風景が浮かんで参りました。張りのあるソプラノの凛とした音色が心にしみ渡りました。日頃の練習の様子が目に浮かびます。オルガン、ピアノの先生方、長時間、本当にすばらしく感動していました。
 最後になりましたが、指揮者の先生、やさしそうで、しなやかで素的です。皆さんとコミニュケーション取りながら自分をしっかり出して、相手と向き合う姿に感動し、私たちみんな心癒されたと思います。
 真夏の日のひと時、音の森におさそいいただき、ありがとうございました。いやな事が多い今の世の中、音色を通して手をつなぎ、笑顔になれますよう祈りながら・・・・・。



合同ステージに対するお声

★久々の音楽授業で、合唱でのクラシックは初めてでした。解説がついて、分かりやすく楽しめました。
★すばらしい!明日歌とのコラボも良かったです。唐沢先生の指揮もすばらしい。「ステージ」大好き!
★とても感動で、涙があふれました。
★ピアノ伴奏が合唱にとけ込むようで、素的でした。
★クラシックの趣向が違って、とても新鮮でした。さすが唐沢先生、解説も分かりやす
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く楽しいです。
★フィンランディア、胸に響く重厚な歌声です。一番良かったです。
★ボリュームがあって、クラシックの良さも出て、重厚な中に高度な音楽を感じました。
★唐沢先生の指揮、平澤さんの伴奏、どちらも素晴らしかったです。特に最後の2
曲は、ステージの皆が一体となって感動的でした。
★クラシック音楽をコーラスとして歌う、というユーモアのある発想にとても驚いた。すばらしい演奏でした。
★歌っていいですね!心に染みました。良い思い出の1ページに刻まれましたこと、感謝いたします!
★人間味あふれる、レベルの高い音楽を体で感じられました。
ありがとう!


 一條さん、宮澤さん、ご寄稿ありがとうございました。
  皆さん、3年後をお楽しみに!
 前回号で3月からの道路交通法改正により、75歳以上の高齢運転者の認知症検査が強化されたお話をいたしました。先日、これに関する警察庁発表の報道がありましたので、
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ご紹介いたします。3月から5月末までに認知症のおそれがあると判定された高齢運転者は1万1617人に上り、そのうち1299人が医療機関を受診し、14人が免許停止となりました。また、3月から5月末までの75歳以上の運転免許の自主返納は5万6488件に上り、年間の自主返納は前の年と比べ大幅に増える見通しとなったようです。今後、高齢者による交通事故が減少に転じていけばいいですね。さて、今回は現在行われている認知症の治療、そして今後期待されている治療についてお話しいたします。
現在の認知症治療薬
 日本国内では現在、4種類の薬が認可されていますが、残念ながら認知症の根本的な治療薬ではなく、病状を遅らせるお薬です。2つのグループに分けられ、1つがア
セチルコリンエステラーゼ阻害剤です。アリセプト(ドネペジル)、レミニール、リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ(張り薬)の3つがあります。認知症では、脳内での神経伝達物質アセチルコリンが減少しているため、このアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼという酵素を阻害することで脳内のアセチルコリンを増やし、認知機能を高めるお薬になります。副作用として嘔気や下痢などの消化器症状、興奮などの精神症状があります。張り薬では、貼付部位のかゆみや発赤などの皮膚症
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状があります。保険上適応となるのは、現在のところアルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症(アリセプトのみ)です。
 もう1つのグループに属するのがメマリーです。認知症患者の脳内では、異常な蛋白質によって神経伝達物質であるグルタミン酸が過剰な状態になっています。メマリーは過剰なグルタミン酸の放出を抑えて、脳神経細胞を保護する働きがあります。副作用として、めまいやフラツキがあります。アリセプトとは作用機序が異なるため、アルツハイマー型認知症が中等症まで進行した時に、アリセプトにメマリーを併用するという治療も行われています。
薬物療法以外の認知症治療
 これらのお薬を使って、認知症の進行を抑えるというのが現在の治療の主流になっていますが、副作用により薬が使用できない場合もあります。認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」の段階から薬物療法を開始した方が予後良好と考えられており、実際の医療現場でも、早期に薬物療法を開始する場合が多いと思います。
 最近、国立長寿医療研究センターが発表した興味深い研究結果があります。認知症でない65歳以上の愛知県大府市の住民約4200人を4年間追跡したものです。国際的なMCI判定基準をもとに検査したところ、研究開始時点で約740人(18%)がMCIと判定されました。ところが、4年後に同じ検査を行うと、MCIだった人の46%が正常範囲に戻っていたというのです。MCIと判定されても、約半分の方が正常に戻ったということは、加齢以外の別の因子が働いたということだと思います。おそらく、MCIと判定された方々あるいはその周囲の人の働きかけで、脳活性化リハビリテーション(いわゆる脳トレ)が行われた結果ではないかと推察します。私の患者さんの中にも、副作用で薬物療法ができないアルツハイマー型認知症の患者さんで、病状があまり進行しない、以前よりも病状が良くなっている方が数人いらっしゃいます。脳活性化リハビリテーションが効果を上げているのでしょう。脳活性化リハビリテーションについては、また改めて取り上げたいと思っています。
開発中のアルツハイマー治療薬
 アルツハイマー型認知症の初めての治療薬アリセプトを開発したのは、日本の製薬会社エーザイです。アリセプトは前述した通り、認知症の進行を遅らせるいわゆる「対症療法」の治療薬でした。そのエーザイが今、3年後の2020年以降の販売に向けて準備を進めている2つの新薬があります。これらの新薬は、対症療法ではなく根本治療になるお薬として期待されています。
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 正常な脳から、アルツハイマー型認知症が発症するまでの過程の模式図を示します。鍵を握っているのが、「アミロイドβ」と呼ばれる蛋白質と、これが凝集してできる「アミロイドβフィブリル」という物質です。これが蓄積すると、脳に黒い斑点(老人斑)ができ、このアミロイドβフィブリルと老人斑が、神経細胞を殺していると考えられています。
 世界中の製薬会社は、左図に示した通り、脳にダメージを与える物質が生成される各過程に介入して、異常な物質の生成を抑える薬を開発しています。エーザイは、バイオベンチャーの米バイオジェンと共同でBACE阻害剤と抗アミロイドβプロトフィブリル抗体を開発しました。前者は治験の最終段階であるフェーズ3、後者はフェーズ2の状況です。これらの根本的な治療薬が登場すると、アルツハイマー型認知症を早期に発見し、早い段階から治療を始めれば、症状が深刻になる前に寿命を終えられる患者、つまり健康寿命の長い方々が増える可能性が出てきます。つまり、認知症患者を社会の「お荷物」から「稼ぎ手」に変えることができるかもしれません。
日本の国民皆保険を守ろう!
 私が医者になってから、色々な治療薬が出てきました。生活習慣病の治療薬、抗癌剤など、創薬により、多くの人々がその恩恵を受け、健康寿命を延ばしていると実感します。日本が世界に誇れる長寿国になっているのは、国民全員が平等に医療の恩恵を受けられる「国民皆保険」のお陰だと思います。この素晴らしいシステムを継続するためには、国民一人一人が節度をもって、医療保険を利用すべきでしょう。あちこちの医療機関を受診しまくる、医療保険を利用して様々な薬の投薬を医師に迫るなど、限りある医療財源を浪費するようなことは慎むべきと感じております。

 前回号では、①認知症とは?②認知症を疑ったらどうする?③認知症は誰もが避けられない、だから健康長寿を目指そう、といった内容をお話しいたしました。折しも先月4月下旬に京都市で認知症国際会議が開催されました。認知症は今や地球規模の問題になっています。社会が認知症患者とどう向き合っていくのかが話し合われました。認知症に優しい社会の実現には、当事者の視点が欠かせないという意見が多く出されたようです。今回は日本において、社会が認知症患者とどう向き合っているのか、また、今後どう向き合っていったらいいのか、などについてお話しします。
高齢者による交通事故の問題について
 皆さんご存知のように、高齢運転者による交通事故が相次いでいます。警察庁によると、日本全体では交通事故による死亡件数は減っています。ところが、75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数の全体に対する割合は2005年7・4%であったのに対して、2015
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年では12・8%までに増えています(左図参照)。自動車大手各社ではここ数年、軽自動車を含む新車への衝突防止機能の搭載を加速させています。ただし、ほとんどの中古車には搭載されていないため、高齢者の手に届くほど十分に普及していないのが実情です。
道路交通法の改正について
 相次ぐ高齢者による交通事故が社会問題化したのを受けて、今年3月道路交通法が改正されました。従来は75歳以上の運転者は、3年に1度の免許更新時に認知機能検査を受けることが定められていました。新しい改正法では、免許更新時に加えて、信号無視や逆走など認知症の影響とみられる18項目で違反した場合も認知機能検査が義務付けられました。この検査では①「認知症のおそれがある」、②「認知機能の低下のおそれ」、③「認知機能の低下のおそれなし」の3段階に分類されます。①「認知症のおそれがある」と判定された場合は医師の診断を受けなければなりません。認知症と診断されれば、免許取り消しや停止となりますが、これは従来の法律と変わっていません。①で認知症と診断されなかった高齢者、②③の高齢者は、分類に応じて2時間から3時間の講習(実車指導、個別指導)を受けることになります。
新しい改正法の問題は?
 今回の改正法は認知機能をこまめにチェックする機会を設けたことが特徴で、一定の効果が期待されています。一方で、医師側からは心配の声が上がっています。対象範囲が拡がったことで、診察数が増え、ただでさえ認知症を専門とする物忘れ外来は予約がいっぱいなのに、対応できなというわけです。また、認知症でないと診断された高齢者が事故を起こした場合、刑事上の責任はないものの、民法上の責任を問われる可能性があるからです。私自身も患者さんから運転免許更新の相談を何件か受けたことがありますが、その方の生活に関わることでもあり、社会的な責任もある事柄であるため、認知症専門医に紹介させていただいています。
 日本では、認知症と診断されれば一律免許取り消しとなりますが、オーストラリアのビクトリア州では、認知症の人でも実際に運転してもらうなどして個々の能力を判断し、運転を認めている所もあります。日本でも初期の認知症であれば、一人一人の運転技量等を確認し、運転の可否を総合的に判断する仕組み作りの構築を求める声が上がっています。一方で、日本の社会では依然として「認知症の方は危ない行動をするに違いない」という思い込みも根強くあり、なかなか難しい問題かと思います。
全国に広がる「認知症カフェ」「認知症サポーター」
 2015年政府は「認知症の人やその家族の視点の重視」などを理念とする国家戦略として「新オレンジプラン」を発表しました。その柱となっているのが「認知症カフェ」です。「オレンジカフェ」とも呼ばれますが、常設の店舗ではなく、自治体やNPO法人などが開催する交流の場になっています、現在、全国で2000カ所以上あります。私が10年来往診を続けている認知症で寝たきりのYさんのお宅では、1年半前からこの「認知症カフェ」を個人で始めています。Yさんの介護をずっと続けている娘さんは、「認知症とどう向き合えばいいか悩んでいる家族は多いです。同じ境遇だからこそ分かりあえるし、助言もできるし、支え合うことができます。」と話していました。
 先月京都で開催された認知症国際会議で日本から発表されたのが「認知症サポーター」です。恥ずかしながら、私も新聞記事で今回初めて知りました。十二年前に厚生労働省が始めた、認知症を正しく理解し、偏見を無くすための取り組みです。認知症の症状や本人への接し方、場面に応じた支援の方法について学ぶ約九十分の無料講座を受講すると、認知症サポーターと認定されます。日本ではこれまでに、自治体や職場などで約26万5千回の講座が開かれ、約883万人のサポーターが生まれているそうです。日本発の認知症サポーターは世界にも広がり、日本はじめ十一カ国で活動が行われています。認知症の家族がいなくても、認知症患者に優しい社会を作っていくため、認知症サポーターがどんどん広がっていけばいいですね。皆さんも受講してみませんか。お問い合わせは、「全国キャラバン・メイト連絡協議会」TEL03‐3266‐0551になります。
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2025年問題にどう向き合っていくのか?
 あと8年後の2025年には、団塊の世代が一斉に75歳以上になります。国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、人類が経験したことのない超・超高齢化社会となります。10人に1人が認知症という時代がすぐそこまで来ています。日本は3年後の東京オリンピックで大いに盛り上がることでしょう。ですがその後、若者が減り老人が増え、物作り日本を支えてきた生産人口は大幅に減り、介護や葬儀に携わる人が激増する、まさに国全体が老境化する状況が心配されています。どうすればいいのでしょうか?認知症が誰でもなる病気であるならば、自立を望む当事者には必要なサポートをして働いてもらう、加えて、介護離職者を増やさないような柔軟な働き方を実現していく働き方改革が必要になります。日本が認知症に負けないために大切なのは、認知症患者を社会のお荷物と考えるのではなく、社会の担い手の一員であるという認識を持つことではないでしょうか。
 次回は、今期待されている認知症の治療についてお話しいたします。
 クリニックを開業してこの4月で十六年目を迎えました。開業当初より通院してくれているMさんという九十一歳の男性の方がいらっしゃいます。背筋がすっと伸びていて、声もしっかりされていて、七十歳でも通るような若々しい方です。Mさんは診察の度に「すずらん新聞はいい。いつも楽しみで読ませてもらっている。」と誉めてくれます。4月の初めに受診された時「先生、今度は認知症のことを書いてくれや。」と言われました。何度か認知症のことはこの新聞でも取り上げているのですが、Mさんの頼みとあっては断れません。『認知症と向き合う』と題して、3回に渡ってお話したいと思います。
認知症とは? 認知症を疑う症状は?
 外来で七十歳以上の患者さんともなると「最近、人の名前が出てこなくなった。物の置き忘
れが多くなった。認知症が心配だ。」という声を聞きます。そんな時によく行うのが欧米では標準的な認知症スクリーニング検査であるMMSEです。Mini-Mental State Examinationの略称で、言語性設問の他に、紙を折る問題や文章や
認知症①.jpgのサムネール画像図形を書く問題などの動作性の設問があります。総計11問で30点満点になっています。24点以上で正常と判断します。MMSEに加えて、頭のCT検査も行います。ほとんどの場合、MMSEは合格点で、頭のCT検査では年齢相応の委縮がある程度で、認知症とは診断されない、
いわゆる加齢に伴う物忘れと診断する場合が多いです。MMSEが23点以下で、頭のCT検査で萎縮が目立ったり、小さな脳梗塞の跡が多発している場合は認知症を疑い、専門医に紹介することになります。
 認知症とは「脳の病変によって、記憶を含む複数の認知機能が後天的に低下し、社会生活に支障をきたすようになった状態」です。人の名前がなかなか出てこないくらいは心配ありません。ところが、自分が体験したことそのものを忘れてしまうという状態は、本人にとってその体験は存在しない、つまりヒントがあっても思い出せないことになるので、認知症が疑われます。記憶障害の他に大切なポイントは、その人らしさが失われたかどうかという点です。以前は問題なくできていた仕事や家事がうまくこなせなくなった、通い慣れた道なのに迷うことがある、身だしなみを気にしなくなった、などです。
 新しい事が覚えられないので、日常的に同じことを繰り返し聞いてくる。物をしまった場所を忘れるので、探し物が多くなり、やがて誰かが盗ったという妄想へとつながりやすくなります。やる気を失って、うつ状態になる場合もありますし、においに鈍感になる点も前兆として大切です。
 認知症の初期には、本人は戸惑いや不安を自覚することが多く、何とか取りつくろって、その場を切り抜けてしまうことが多いです。相手の話に合わせて「そうそう、それだった」などと思い出したふりをする場合もあります。ですから、電話での応対では多少やり取りに不自然なところがあっても、それなりにしっかりした会話ができてしまいます。認知症を初期に見つけるには、数日一緒に生活してみて、自分の目で色々を確かめることが大切です
認知症を疑ったらどうすればいいか?
 私が定期的に診ている患者さんの家族から、時々「最近物忘れが多く、認知症が心配だ」とこっそり連絡があります。この場合は、受診した際に「何々さん、お歳もお歳だし、脳の働きもチェックした方がいいから、ちょっと検査しておこうかね」とお話して、前述したMMSEと頭のCT検査を行います。このパターンは大丈夫です。ところが、日頃かかりつけ医がなく、自分の親に認知症が疑われた場合は、ちょっとやっかいになります。たいていの親は、自分の子供に「認知症では?」と言われれば怒り出すことが多いからです。親としてのプライドがあるから当然と言えば当然です。だからと言って、本人にごまかして認知症専門の医療機関に連れて行った場合、初期であればあるほど、認知症の人はすぐにだまされたことに気づき、その後はどんなに説得しても病院には行かない可能性があります。家族との信頼関係が崩れ、家庭内では家族を攻撃するような悲惨な状況になることもあります。
 どうすればいいのでしょうか。いきなり認知症専門の医療機関に連れていくようなことはせず、近場の開業医の先生のところに健康診断という口実で受診してもらって、認知症の検査も合わせてやってもらうというのがいいかと思います。そこで、認知症が疑われれば、改めて専門の医療機関に紹介してもらう、これが無難な方法かと思います。そういった意味で、定期的にかかるような病気がなくても、風邪などをひいた時に面倒をみてもらう、かかりつけ医を作っておくことは大切といえると思います。
誰もが認知症からは避けられない!
 ちょうど1年前のすずらん新聞第169号『認知症予防と健康長寿のツボ~前編~』でも取り上げました。2012年での認知症患者は462万人でしたが、今から8年後
認知症患者推計2.jpgのサムネール画像
の2025年には認知症患者は約1・5倍の700万人になると推計されています。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)を加えると、約1300万人となり、65歳以上の3人に1
人は認知症患者とその予備軍となるわけです。日本を代表する神経内科医で、東京女子
医科大学名誉教授の岩田誠医師は「人間には二通りの生き方しかない。認知症になるまで長生きするか、その前に亡くなるか。」と。長生きしたいなら、できるだけ認知症の期間を短くして、
健康長寿を目指すしかないわけです。そこで、私が提案したのが『認知症予防と健康長寿のツボ五箇条~長寿遺伝子を活性化させる生活を~』です。詳しくは第169号、170号を参考にしていただきたいと思います。
 次回は、認知症患者の増加に伴う社会的な問題を取り上げてみたいと思っています。



 前回は緊張型頭痛、片頭痛についてお話しいたしました。今回は新しい疾患概念『脳過敏症候群』を取り上げます。私自身も今回、頭痛の勉強をし直して初めて知った疾患名です。私の診ている患者さんの中にも、この病態に当てはまるような方もいらっしゃると思いましたので、紹介したいと思います。
『脳過敏症候群』とは?
 2011年、東京女子医科大学脳神経外科の研究チームが、頭痛に関する長年の臨床経験から提唱した、頭痛の診断の新しい考え方です。
 脳過敏症候群は、片頭痛などの一般的な頭痛もちの患者さんが、長期間くり返し鎮痛剤を使い続けるなどの不適切な対応を続けることで、引き起こされます。反対に、「頭痛なんか病気じゃない、がまんしていれば治るはず」と何の治療もせずに放置していても引き起こされます。日本では欧米に比べると頭痛を病気として認識していない方が多く、慢性的な頭痛があるのに医療機関を受診しないケースが多いようです。
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 脳過敏症候群の症状としては、耳鳴り、めまい、難聴の他に、不眠症状、不安感、抑うつ感などがあります。物忘れが激しくなる、イライラして攻撃的になる、奇行を繰り返すというケースもあります。また、認知症、うつ病、パニック障害だと思われていた人が、実は脳過敏症候群だったというケースもあるようです。
 私が診てきた患者さん、特に女性に多いのですが、前記のような症状があって、頭のCTやMRI検査でも異常がなく、耳鼻科で診てもらっても特に異常を言われないという患者さんがこの病態に当てはまるのではないかと思っています。
脳過敏症候群の原因
 一般的に、片頭痛の痛みは、年齢を重ねるとともに減弱していくことが多いです。片頭痛は、脳の血管が異常に拡張して、血管周囲にあるセンサーの役目を果たしている
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三叉神経への刺激が元になり、大脳が興奮することが原因で起こります。ところが、中高年になると、脳の血管は動脈硬化を起こし、異常な血管拡張が起こりにくくなります。そのため、三叉神経への刺激情報を伝わりにくくなって、痛みが減弱するというわけです。
 しかし、痛みが減弱しても大脳の興奮が鎮まったわけではありません。片頭痛の度に大脳が興奮を繰り返すと、後頭葉や側頭葉、さらには視床という感覚の中枢から、小脳というめまいや平衡感覚に関連した部位にその刺激情報が繰り返し伝えられます。結果として、脳の各部位は正常に働かなくなり、前述したような脳過敏症候群の症状が引き起こされると考えられています。
脳過敏症候群の診断
 どの診療科を受診しても、「原因がわからない」「不定愁訴」などといわれ、たらい回しにされ、症状を抑えるための薬を次々に処方されてきた患者さんが多いようです。そうした症状も脳の過敏性の高さによるものだと分かれば、適切な治療も可能です。
 まず、大切なのはこれまでの症状や経過などをきちんと聴取する問診です。次に症状に応じて、頭のCT検査、MRI検査を行って、他の病気でないかを調べる除外診断が必要です。その上で、脳過敏症候群が疑われた場合は、脳波検査を行います。脳波検査は、覚醒時と時に睡眠時の記録をそれぞれ20分程度行います。あらゆる周波数の光刺激を行い、後頭葉からの刺激波が脳のどのあたりまで波及するかを観察し、診断していきます。
 南信地区で、こういった診断ができるのは、日本頭痛学会認定頭痛専門医のいる昭和伊南総合病院脳神経外科や、瀬口脳神経外科病院になります。自分が脳過敏症候群ではないかと思われる方は紹介いたしますので、お申し出ください。
脳過敏症候群の治療
 脳過敏症候群の治療は、根本にある脳の興奮を鎮め、過敏さを和らげていく薬物療法が基本になります。抗てんかん薬、抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)などを投与し、まず、脳の興奮を抑えます。脳の興奮が鎮まると、一時的に本来の頭痛発作が出ることもありますから、その際は前号で紹介したトリプタン製剤を服用します。元の片頭痛発作が頻回になることはないそうです。
 慢性的な頭痛に悩んでいても、医療機関を受診せず、市販の頭痛薬で対処している方が多いかと思います。月に1~2回程度の頭痛発作であれば問題ありませんが、10回以上の発作がある方は、医療機関を受診しましょう。また、「薬を飲まずにがまん!」という対応は、さらに問題です。過去にそのようなことをしていて、耳鳴り、めまい、難聴、不眠、不安感などの症状がある方は、脳過敏症候群に移行している可能性があります。医師にご相談ください。
 クリニックでは、頭痛の訴えで来院される患者さんをよく見かけます。脳腫瘍ではないか、脳出血ではないかと気にされる患者さんには、頭部CT検査を行います。脳に何か異常があることはほとんどありません。開業して十五年になりますが、脳腫瘍が見つかったのはわずかに2例のみです。頭痛については今から十一年前、第52号『頭痛もちは三千万人』というタイトルでこの新聞で取り上げました。最近の知見も交えて、今回と次回の2回に分けて頭痛をテーマにお話しします。
 現在の日本では、いわゆる"頭痛もち"と呼ばれる方は約四千万人に及んでいます。そのうち7~8割が『緊張型頭痛』、2割が『片頭痛』です。もう一つの『群発頭痛』を合わせて、頭痛もち三兄弟といいますが、群発頭痛は年間で1万人に1人という発症頻度です(私は出合ったことはありません)。今回は、一般的な前二者を取り上げます。
ストレスが引き起こす『緊張型頭痛』
 緊張型頭痛は頭痛もちの7~8割を占めます。中高年に多く、女性にも男性にもよくみられる頭痛です。後頭部から首筋にかけて痛むことが多いですが、頭全体や鉢巻き
緊張型頭痛①.jpg
様に痛むこともあります。痛み方は、頭を締め付けられような圧迫感、緊迫感、頭重感が特徴で、「鉢巻きをしているような」、「帽子をかぶされているような」、「頭に重石をのせられているような」感じになります。めまいやフラツキ、目の疲れ、全身のだるさを伴うこともあります。頭や首の周りの筋肉のコリ、精神の緊張から起こる頭痛で、頭痛の頻度は月に数回から毎日と様々です。午後から夕方4時くらいにかけて増強する傾向があります。片頭痛が発作的に起こるのに対して、緊張型頭痛はいつとはなしに始まり、だらだらと持続します。片頭痛は「夕立」、筋緊張型頭痛は「梅雨空」のような頭痛とたとえられます。
 緊張型頭痛は筋肉の緊張が原因の頭痛ですので、マッサージや入浴、運動によって症状の軽快が得られます(片頭痛では逆に増悪します)。肩こりや、あごの痛みや開口障害のみられる顎関節症を伴うこともしばしばです。緊張型頭痛は、精神的なストレスや身体的なストレスの両方が誘引になって起こります。ストレスにより頭の回りの筋肉が緊張すると、筋肉の血液の流れが悪くなり、乳酸やピルビン酸といった老廃物が貯まってコリの状態となり、痛みを起こすようになります。この痛みがさらに血流を悪くしたり、ストレスを助長するため悪循環に陥り、頭痛がだらだらと続くことにもなります。一日中コンピュータに向かう仕事をする人などでは、首や頭の回りの筋肉に負荷がかかり、この身体的なストレスも頭痛を引き起こします。ゲームやスマートフォンの普及とともに、若年層でも緊張型頭痛が増えているようです。枕が高すぎることも緊張型頭痛の原因になります。
緊張型頭痛の薬物治療
 痛みを緩和させるための鎮痛剤を用いるほか、筋肉の過剰な緊張をゆるめる筋弛緩薬(テルネリン、ミオナール)や抗不安薬(エチゾラム、セルシンなど)が用いられます。鎮痛剤は服用し過ぎると、胃腸障害や肝機能障害を起こすことがありますので、注意が必要です。筋弛緩薬や抗不安薬は眠気の副作用が出ることがあります。また、抗うつ薬を使って、痛みの閾値をアップさせ、痛みの過敏さを和らげる治療が有効なこともあります。日頃から、首や肩、背中が張ってきたら、体を動かして筋肉の緊張を解きほぐして、頭痛に至らせないようにすることが大切です。
女性に多い『片頭痛』
 『片頭痛』というくらいですから、頭の片側が痛むことが多いのですが、実は両側が痛むことも少なくありません(4割で両側が痛む)。頭の片側のこめかみから眼のあたりが痛み、ひどくなると頭全体が痛みます。後頭部が痛む片頭痛もあります。頭表面を走っている血管が腫れて痛む頭痛のため、脈が打つように「ズキンズキン」、「ガンガ
頭痛③.jpg
ン」といった頭痛になります。「頭の中に心臓があるようだ」と訴える患者さんもいます。痛みがひどくなると脈打つ感じではなく、持続的な痛みとなります。片頭痛の半分の患者さんでは拍動感を感じません。
 片頭痛は女性に多く(男性の4倍)、生理や排卵に関連して現れることが多く、妊娠中には逆に頻度が少なくなります。思春期ころから多くなり最盛期は30歳代で、60歳を過ぎると少なくなります。月に数回、夕立のように発作的に起こります。日常生活に支障を来たすような痛みで、寝込んでしまう患者さんも多いと思います。階段の昇降、入浴などの日常的な動作、運動、首や肩のマッサージなどにより頭痛が増悪するのが片頭痛の重要な特徴です。発作は4時間から72時間持続し、しばしば吐き気や嘔吐を伴います。光や音に敏感になるのも特徴です。光がまぶしくなり、周囲の音や声が頭にガンガン響くため、発作中は暗い静かな所を好みます。片頭痛の20%では「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる前兆が現れることがあります。視界にチカチカした光(閃輝)が現れ、これが拡大して元のところが見えにくくなります(暗点)。閃輝暗点は20~30分続き、これが終わるころから頭痛が始まります。
チョコ①.jpg 片頭痛の誘因は人によって様々です。ストレスは有力な誘因ですが、ストレス中は血管が緊
張しているため頭痛は起こらず、ストレスから開放された時に血管が緩んで片頭痛が起こります。ストレスが開放される週末になると片頭痛が起こり、楽しみをフイにしてしまうこともあります。血管を緩めるチョコレート、ワインなどのアルコール、チーズ、柑橘類、ナッツなどの飲食物も誘因になります。血管を拡げる高血圧や狭心症の治療薬も片頭痛を誘発します。人ごみや騒音、まぶしい光なども原因となります。
 こういった誘因が顔面や頭部を支配している知覚神経『三叉神経』を刺激します。すると、三叉神経の終末部から痛みの原因物質が血管に放出され、この物質が血管の拡張と炎症を招き、頭痛が起こるわけです。
片頭痛の薬物治療
 片頭痛の発作時に欠かせない薬がトリプタン製剤(マクサルト、ゾーミック、イミグランなど)です。痛みだけでなく、脳の興奮を抑える片頭痛の特効薬です。服薬のタイミングが大切です。生あくび、肩こり、光・音・においに敏感になる、吐き気がするなどの予兆症状や、閃輝暗点の前兆があったら、すぐに服用します。予兆や前兆がない場合は、痛み始めたら早めに服用しましょう。片頭痛の場合、痛みがピークになってからの内服では、特効薬と言えども効きません。まずは1錠服用して、それでも十分な効果がなければ、2時間以上間隔をあけて、もう1錠服用します。トリプタン製剤は値段が高く、3割負担で1錠あたり200円から300円です。ですが、発作のたびにトリプタン製剤で脳の興奮をきちんと取り去れば、将来の脳過敏症候群(次号でお話しします)への移行を防げます。それを考えますと、トリプタン製剤による治療は大切ということになります。

 

油の摂り方変遷.jpg「油」というと少量でもカロリーが高く、摂り過ぎると脂肪蓄積の原因となる印象がありますよね。私も診察の場面で、血糖や中性脂肪が高めの方には、「甘いもの、油ものを控えめにして、繊維物をしっかり摂りましょう」と話すことが度々です。実際には「油」には体に良い油と悪い油があり、積極的に摂るべき油もあることを知っておく必要があります。どんな健康本にも積極的に摂取すべき油として紹介されるのが、青魚に多く含まれるEPAやDHAです。今回は、『「海の油」と「陸の油」のお話し』というタイトルで、積極的に摂るべき油、控えるべき油を整理します。
「海の油」と「陸の油」
 「油」というと灯油やガソリンなどの燃料油も含まれてしまいますよね。実は生命に関わる油は「脂質」と呼ばれます。コレステロールが高い状態を、以前は高コレステロール血症と呼んでいましたが、今は脂質異常症と呼ぶようになっています。なぜかと言いますと、コレステロールには悪玉のLDLコレステロールと、善玉のHDLコレステロールの2種類があって、HDLコレステロールが低い状態は体にとって良くないのですが、高コレステロール血症ではこの病態を表現できないからです。
 さて、脂質を構成しているのは「脂肪酸」という物質で、脂質は脂肪酸の種類によって、いくつかに分類されています。基本的には常温で固まる油が「飽和脂肪酸」、常温で固まらない油が「不飽和脂肪酸」と呼ばれます。以前は、飽和脂肪酸が動脈硬化を進行させ、不飽和脂肪酸が動脈硬化を予防すると言われていましたが、現在ではこれは間違いであることがわかっています。実は、飽和脂肪酸の一種である「中鎖脂肪酸」が、今、認知症予防の救世主として注目されています。ココナッツオイルやココナッツミルクに含まれている中鎖脂肪酸については、次号で紹介します。一方のヘルシーと言われてきた「不飽和脂肪酸」ですが、大きく「オメガ3系脂肪酸」「オメガ6系脂肪酸」「オメガ9系脂肪酸」の3種類に分かれています。青魚に多く含まれるEPAやDHAは「オメガ3系脂肪酸」に属しこれらが「海の油」です。一方、豚肉や鶏肉、植物由来の油に多く含まれるアラキドン酸は「オメガ6系脂肪酸」に属しこれが「陸の油」になります。この一般の人に分かりやすい油の分類を提唱しているのが、百歳健康法でおなじみの白澤卓二先生です。
「海の油」と「陸の油」のバランスが決め手!
 日本人の魚の消費量は1970年代から増えています。健康長寿のために魚を食べた方がいいいことが分かり、多くの人が意識して魚を摂るようになったにも関わらず、脳卒中や心筋梗塞の発症率は一向に下がりません。なぜでしょうか?それをよく示している上のグラフをご覧ください。上の棒グラフを見ると、魚の脂質(海の油)の摂取量は、1970年代からわずかながらも増えています。一方で植物性脂質と動物性脂質(陸の油)の摂取量は1970年代から急速に増えています。下の折れ線グラフをご覧ください。総脂肪に対するEPAの推定比が1950年代からぐっと下がり、それに半比例する形で、脳梗塞や虚血性心疾患の死亡率が上昇しています。つまり、日本人は魚の油はそれなりに摂取しているのですが、それ以上に陸の油を過剰に摂取しているため、脳や心臓の血管をボロボロにさせてしまっているというわけです。
心筋梗塞.jpg血管の炎症を引き起こす「陸の油」
 サラダ油、コーン油、ベニバナ油、ナタネ油などの植物性の油ですが、その名前からか体には良いものというイメージを持っている方が多いかと思います。実は、これらの植物性の油はオメガ6系脂肪酸であるリノール酸やγリノレン酸を多く含んでおり、酸化するとアラキドン酸に変化するのです。アラキドン酸は、過剰に摂取すると血管の炎症を招き、血栓ができやすくなります。豚肉や鶏肉にもアラキドン酸が多いのですが、これら肉の油と植物性の油は成分としては同じ性質のものだという認識が必要です。植物性の油は炒め物や揚げ物に使われたり、加工食品に利用されています。肉をそれほど食べていなくても、炒め物、揚げ物や加工食植物油.jpg品を頻繁に食べていると、植物性の油、つまり陸の油を過剰に摂取することになり、体には害になってしまいます。炒め物や揚げ物には、陸の油であっても性質の違うオメガ9系脂肪酸に属するオリーブオイルや、次号で紹介するココナッツオイルを上手に利用するのがいいと思います。
牛肉、豚肉、鶏肉どれがいい?
 肉には牛肉、豚肉、鶏肉などがあります。さて、どの肉を多く摂取するのがいいのでしょうか?最近、サーロインステーキなどを好んで食べる人は長生きするから、魚より肉を食べた方がいいんだとマスコミや本で主張する人がいます。豚肉や鶏肉にはアラキドン酸が多いのですが、牛肉にはあまり含まれていません。その点では、牛肉を好んで食べる方に元気な方が多いのは、アラキドン酸の少ない良質な蛋白質を摂取しているからだろうと推察されます。かと言って、肉より魚の方が体にいいと考えるのは間違っています。
 豚肉にはビタミンB群が豊富ですし、鶏肉は牛肉に比べてコレステロールが少ないといういい面もそれぞれあります。牛肉、豚肉、鶏肉のどれが一番いいといっても、順番はつけられないかと思います。3つの肉をバランスよく摂るのがいいのでしょう。ただ調理する際に用いる油には前述したような注意が必要です。肉を食べる時にはできるだけ、しゃぶしゃぶにしたり、湯通しして、油を使わない調理をすることも大切でしょう。
「海の油」EPA・DHAを積極的に摂取しよう!
 EPAは血液をサラサラにして、血栓ができるのを防ぐ働きがあります。一方、DHAは脳の炎症を抑えたり、脳の働きを良くする働きがあります。また、EPA・DHAともに炎症を抑えたり、免疫力を高めたり、脂質代謝を改善する作用もあります。EPA・DHAは体内では合成されないため、食品からしか摂取できない、いわゆる必須脂肪酸です。日頃から、EPA・DHAを多く含んでいる食材、魚介類や海藻を積極的に食事に取り入れて下さい。特に、まぐろ、さんま、さば、いわし、あじ、かつお、ぶりなどに多く含まれています。魚の油の成分ですので、油の乗ったものの方がより豊富に含まれています。ただし、EPA・DHAは、熱に弱く酸化しやすいので、調理方法としては生で食べるお刺身が最適といえます。
サバ②.jpg お魚が苦手だったり、自宅で調理するのが面倒という方はどうしたらいいでしょうか?EPA・DHAを多く含む魚以外で、オメガ3系脂肪酸が豊富な食品があります。オメガ3系脂肪酸には、αリノレン酸という体内で消化・分解されてEPAやDHAになる脂肪酸があります。αリノレン酸を多く含む油には、エゴマ油、亜麻仁油、インカインチオイル(サチャインチという植物を原料とするオイル)、チアシード(南米原産の種子)などがあります。これらを加熱しないように上手に料理に取り入れて、オメガ3系脂肪酸を摂取すると良いでしょう。

アイス.jpgのサムネール画像 前号の新聞を発行してから、三人の女性の患者さんから次のような話がありました。「先生、困るわあ。私、パンやパスタやアイスクリーム大好きなのに。どうしたらいいの?」一人の方は「先がそんなに長くないし、私は大好きなパンを食べ続けるわよ」と仰っておりました。昔、食品関連の会社を立ち上げた高齢の男性の方からは、「あの記事を読んで、私はパンを食べるのを一切やめましたよ。家内は食べ続けていますが・・・」反響の大きさに驚いていますが、そのグルテンの話題で今回もお話しいたします。デイビット・パールマスター著『いつものパンがあたなを殺す』(三笠書房)、副題として「脳を一生、老化させない食事」とありますが、内容がやや難しく、かなり過激なので、内容をかみ砕いてソフトにして紹介させていただきます。
血糖を急激に上昇させる食品とは?
 前号では、現代人は炭水化物を過剰に摂り過ぎていて、それが糖尿病を始めとする生活習慣病を生んでしまっているというお話しをしました。ここで、著者が医療関係者に講演する際に、4種類の食べ物のスライドを見せてから質問するというお話を紹介します。その4種類の食べ物とは、①全粒小麦パン、②チョコバー、③精白糖大さじ一杯、④バナナです。質問は「もっとも血糖を急増させる食品は?」です。皆さん、どう思いますか?③の精白糖だと思う方パン②.jpgのサムネール画像が多いかと思います。医療関係者でも正解される方はほとんどいないそうです。
 ここでグリセミック・インデックス(GI値)を紹介します。GI値とは、ある食べ物を食べた後に、血糖値がどのくらい急激に上昇するのかを計測した数値です。GI値はゼロから100までの範囲で、血糖を急激に上昇させる食べ物ほど高い値になります。純粋なブドウ糖のGI値を100としています。さて、前述の4種類の食品で、一番GI値が高いのが①全粒小麦パン(GI=71)です。意外に思いますよね。その他、高い順に言いますと、③精白糖(GI=68)、④バナナ(GI=56)、②チョコバー(GI=55)となります。精白小麦で作ったパンのGI値も71で、全粒小麦なら体にいいと考えるのはやめるべきのようです。
 著者は、「現代人にグルテン過敏症が増える理由は、今日の加工保存食品に含まれる多量のグルテンにさらされているばかりではなく、糖質(炭水化物)、炎症を促進する食べ物(マーガリン、ショートニングなどのトランス脂肪酸の多い食品)、環境有害物質(空気や土壌や水に含まれる体に悪影響を与える微量な物質)を過剰に摂取している結果でもある。現代人の脳においては、特に最悪の状況を生み出している。つまるところ、炭水化物は、私たちの体に害をなす成分の源なのだ。」と述べています。
「脂肪を蓄積せよ」という遺伝子
 前号で紹介しましたように、古代人は食事のうち7割を脂肪から摂取していました。脂肪は人間の代謝にとって好適な燃料であり、人間の進化のすべてを支えてきました。だからこそ、私たちは過去二○○万年に渡って、高脂肪の食事をしてきました。その後、わずか一万年ほど前に農業が行われるようになって初めて、食料として炭水化物が豊富に供給されるようになったに過ぎません。私たちはいまだに高脂肪の食事で生き抜いてきた狩猟採集民族の遺伝子を持っています。いわゆる「倹約遺伝子」です。長期におよぶ食糧不足に備えて、食料が豊かな時に脂肪を蓄えるように、体内にそのメカニズムが組み込まれています。この倹約遺伝子のおかげで、人間は食料が十分ある時に太ることができ、食料不足に備えることができました。
 その後、食べ物が手に入れやすくなった時代においても、倹約遺伝子はなおも活発に働いています。この倹約遺伝子の指示を無視するように人間が進化するには、これから四万年から七万年かかるといわれています。倹約遺伝子は、やってこないであろう飢饉に備えさせ、現代人に肥満を蔓延させ、糖尿病の患者を多くしています。さらに、現代人は炭水化物を過剰に摂取していますので、脂肪蓄積に拍車をかけているといえるでしょう。
脳が静かに燃えていくという恐怖炎②.jpgのサムネール画像
 炎症といえば、蜂に刺されたところが痛むとか、風邪を引いて喉が痛いとか、膝や肘の関節が痛むとか、といったイメージがあります。こういった時に血液検査をすれば、炎症の程度を表すCRP値が上昇したり、白血球数が上昇したりといったことが起こっています。こういった炎症は体感できますし、客観的に数値として目に見えてきます。この本では「脳の炎症」という言葉が頻繁に出てきます。私もどういうことか最初イメージができませんでした。著者は、脳炎とか脳脊髄炎といった急性のものではなく、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、自閉症、うつ病といった慢性的な脳の病気に起こっている、静かに燃えている「炎症」として説明しています。脳には体の他の部分と違って、痛みを脳②.jpgのサムネール画像感じる受容体がありませんので、人間は脳の炎症を感じることができない、だからこそ恐怖なのだと述べています。そして、この脳の炎症に深く関わっているのが、炭水化物やその一つであるグルテンの過剰摂取なのだ、という事がこの本の一番の主張になっています。様々な研究データが示されていますが、紙面の都合上、ここでは割愛します。
炭水化物、グルテンを抑えた食事を考えよう!
 欧米では日本と違ってパンが主食ですので、グルテン過敏の方が多いことは予想されます。日本の食品ではグルテンの有無の表示はありませんが、米国では今や当たり前で、ごく普通の食料品店でも「グルテンフリー製品」の品ぞろえは豊富のようです。過去数年で、米国で販売されたグルテンフリー製品の総額は爆発的に上昇し、業界全体では2011年に約6300億円を達成し、なおも上昇を続けているそうです。このグルテンフリー食品への関心は、皆さんもご存じの世界ランキング1位のテニスプレイヤー、ジョコビッチ選手の話が火を付けました。彼は、2011年からグルテンフリーの食事を取り入れ、その後まもなく世界ナンバーワンに登りつめたのです。
 話が変わりますが、私が小学校時代、学校給食で出された主食はコッペパンでした。宮田中学校に上がってまもなく、新しい校舎に移転し、そこで給食は教室ではなく、全校生徒が一同に食堂に会して食事をするようになりました。その頃から、米食が取り入れられるようになったと記憶しています。この本の訳者、白澤卓二先生はあとがきで次のように述べています。「五十代の方は、学校給食で出されたコッペパンから始まって、パンを暴力的に浴びて育ち生きてきました。脳の働きをよくし、認知症を防ぐというこの二つの課題を同時にこなさなければならない五十代になっても、相変わらず炭水化物中心の食生活を続けていたら取り返しがつきません。」と。
 五十代の方に限りませんが、パン、麺類、パスタ、焼き菓子類、シリアルなどグルテンが豊富な炭水化物食品は控えめにしたらいかがでしょうか。朝食がいつもパン食の方なら、米食に変えるのもいいかもしれません。グルテン過敏でなければ、グルテンフリー食にする程のことはないと思いますが、脳を守るという意味で、食生活を一考する必要はあるかと思います。
 三大栄養素と言えば、炭水化物、タンパク質、脂肪ですが、炭水化物の多い食品と言って、皆さんが頭に浮かぶのはどんな食原始人.jpg品でしょうか。ご飯、パン、麺類などですよね。ここで、旧石器時代と現代で、食事の栄養源がどれだけ違っているのか?大きな違いは炭水化物摂取量の差です。石器時代では、炭水化物の摂取量は全体の5%、現代では60%に及んでいます。さて、旧石器時代になくて、現代にある病気と言えば何でしょうか?心臓疾患、糖尿病、認知症、うつ病、肥満などです。現代人は炭水化物を過剰に摂取することで様々な病気に悩まされている、特にグルテンの過剰摂取に注意が必要という本に出会いましたので、内容をかみ砕いて紹介します。ちょっと衝撃的なタイトルですが、『いつものパンがあなたを殺す』です。米国の神経科医デイビッド・パールマターが著し、訳者は日本で百歳健康法でおなじみの白澤卓二氏です。
過剰な炭水化物摂取が引き起こすこと
 炭水化物は「糖質」と呼ばれることもある通り、体内に消化吸収されると血中でブドウ糖に変わり、体や脳の活動に欠かせないガソリン(エネルギー源)になります。このブドウ糖の代謝を調整しているのが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンです。インスリンは血中のブドウ糖を肝臓や筋肉に取り込むことで、血中のブドウ糖の値が高くならないように調整しています。現代人の食事は炭水化物にあふれていますので、血中のブドウ糖が高めになり、膵臓はインスリンをせっせと出し続けます。膵臓が疲れ果て、インスリンの分泌が低下し、血糖の上昇が抑えられなくなるの膵臓.jpgが糖尿病です。血液中の過剰な糖は、ガラス破片のように体の細胞を傷つけ、網膜症、腎症、神経障害などを引き起こします。さらに、糖尿病は免疫力を低下させ、感染症や癌を発症させやすくします。
 体の中の細胞から見ると、血中のインスリンが過剰な状態が続くと、細胞表面のインスリンが働く受容体の数が減少し、ブドウ糖があまり細胞内に取り込まれないように変わっていきます。これがインスリン抵抗性と言われる状態で、これも血糖を上昇させることになります。さらに、インスリン抵抗性の状態が、脳でのアミロイド沈着を促進し、アルツハイマー病の発症に関わることが分かってきています。最近、アルツハイマー病が第三の糖尿病と言われるようになった理由がここにあります。
 1994年に米国糖尿病学会が米国民に対して、カロリーの60~70%を炭水化物で摂取するように勧告しました。日本でも糖尿病食での炭水化物の占める割合は同様の指導をしています。ところが、この勧告以降約10年間で、米国での糖尿病患者は倍増したようです。また、2011年日本での60歳以上の男女千人の調査により、糖尿病患者ではそうでない人に比べて15年以内にアルツハイマー病を発症する可能性が二倍であることが分かりました。
 もう一つ炭水化物の過剰摂取がやっかいなことは、体重増加につながるということです。摂取した炭水化物がブドウ糖に変わると、膵臓からはインスリンが分泌され、ブドウ糖を肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄積させることはすでにお話ししました。ところが、肝臓や筋肉にこれ以上のグリコーゲンが蓄積できなくなると、体脂肪に変わってしまうのです。現代人に古代人にはなかった肥満が多い理由がここにあります。著者は畜産農家の次のような例をあげて、炭水化物の過剰摂取に警笛を鳴らしています。「考えてもみよう。多くの畜産農家が家畜に脂肪やタンパク質ではなく、コーンや穀物のような炭水化物を与え、太らせて出荷しているのだ」と。
グルテンの恐怖
 「グルテン」という言葉はあまり聞きなれない方が多いかもしれません。グルテンはタンパク質の混合物で、粘着性のある物質として作用し、食べ物をふわりとさせます。水と小麦粉を混ぜて手でこねて丸め、そのかたまりを流水の下で洗い、デンプンとタンパク質を流してしまえばネバネバする物質が手に残り、グルテンを体感することができます。小麦などの穀物に含まれている他、ありふれた添加物としてアイスクリーム、ホットドッグ、ソーセージ、マヨネーズ、ケチャップ、チーズ、シロップ、ビールなど多くの食品に使われています。
 グルテ食パン.jpgンに対する過敏症として「セリアック病」という自己免疫疾患があります。グルテンに対する異常な免疫反応で発生した自己抗体が小腸の上皮を攻撃し、慢性の下痢、腹痛、腹部膨満、栄養失調などを来す病気です。日本ではまれな疾患とされていて、私もセリアック病の患者をみたことはありません。セリアック病では消化器症状の他に、記憶障害、認知機能低下、てんかん、人格変化などの神経症状が現れることがあります。この著者は神経科医で、様々な神経症状の患者を診察する中で、原因不明の神経疾患を抱える患者の中にグルテン過敏症の患者がいて、グルテンフリーの食事指導をすることで、劇的に症状が回復した例をいくつか紹介しています。グルテン過敏症が関連する疾患として、注意欠陥多動性障害(ADHD)、アルコール性依存症、筋委縮性側索硬化症、自閉症、うつ病、糖尿病、関節リウマチ、心臓疾患、過敏性腸症候群、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病、てんかんなどを挙げています。著者はグルテン過敏症でなくても、現代人の健康、特に脳にグルテンが悪影響を及ぼしていると述べています。
グルテン依存の問題
 グルテンは胃で分解され、血液脳関門を通過できるポリペプチド混合物になります。これが脳に入り込むと、脳のオピオイド受容体と結合し、感覚的な恍惚状態を生み出すことが分かっています。ドーナッツ、スコーン、クロワッサンなどを食べた後に、もし急に楽しい気分になったことがあるなら、それは思い込みではないと著者は述べています。食品メーカーが製品の中に、できる限りたくさんのグルテンを詰め込もうとするのは当然で、多くの人がグルテンたっぷりの食品にやみつきになっていて、「グルテンは我々現代人のタバコ」と警笛を鳴らしています。

 去る平成26年7月20日、駒ヶ根市文化会館大ホールにて第三回静ぞか児童合唱団駒ヶ根公演~すずらん大音楽会~が開催されました。この公演に前駒ヶ根高原美術館館長の松井君子さんより感想文を頂戴しましたので、ご紹介いたします。

 

清澄な歌声を聴いて    松井君子

 今年の梅雨は例年より十日以上長かった。
 中央アルプスの向う側、南木曽では中学生が犠牲になった。この伊那谷は大雨や台風の災害もなく、無事梅雨が明けた。
 二〇〇七年、第一回すずらん大音楽会が開かれて以来三回目が駒ケ根市文化会館の大ホールで開かれた。この音楽会を第一回から聴かせていただき、今回も楽しみに七月二十日を待っていた。というのはこの汽車の旅①.jpg音楽会は、出演者と聴衆が一体化し、障害を持った人、健常の人、全ての人々が心から音楽を楽しめるからなのだ。誰もが音楽を好きになれるからでしょう。
 一部オープニング、汽車の旅メドレーでステージで歌う人、会場で聴く人が歌の汽車に乗って、「さあ!歌の旅にでかけよう」そんな雰囲気に参加者全員の心を引きつけた。
 第二部はルネッサンス(十四から十六世紀)時代の音楽。均整と調和のとれた再生の意味を持つ意味で、天から下りて来た声とも思われる美しい澄んだハーモニーに静まりかえった会場は包まれた。
 アカペラ(無伴奏)であったし、子供達一人一人が麗音ともとれる実力のある演奏で、私もヨーロッパのキリスト教の名画を見ているようであった。
ポリフォニー.jpg ポリフォニー(十から十七世紀)は各一人一人、各声部がそれぞれ平等の重要性を持ち和声的な関連を持つ多声音楽であり、教会のカテドラルでよく歌われる。この三曲は私のまわりの人々も殆ど聴いたことのない曲なのに、音楽の魅力に感心の声がボソボソとささやかれていた。また、ブルガリアの歌も私自身ははじめて聴いた合唱曲であったが、音楽は世界共通の「ことば」と感ぜられた。
 あんな小さな子供から大人まで心を一つにして、練習には苦しみもあったでしょうが、美しいハーモニーに感嘆した。
 第三部はこもれびカルテットによる日本の歌。心から歌うことの好きな男性四人、選曲も誰でも知っている五曲。年老いたおじいさんが時計に自分の人生を懐かしみ、静かに思い出を語る古時計、胸にじんとくる名曲である。このステージは五曲それぞれ趣がまったく異なっているカルテット②.jpg。一人一人の個性と、実力のあるカルテットのたまものでしょう。笑いあり、しゅんとする時あり、男性カルテットの清潔な音楽は楽しい時であった。このようなバラエティに富んだ構成の音楽会は意外と舞台上の人が自己満足に陥りやすいと過去の音楽会で感じたこともあったので、そんなこともなく、私の席の後部座席の人々も一体化して小さな声でうたっていた。誰もが知っている歌を舞台上で歌うことは、聴く人々も一つの先入観とイメージを持って聴くので、意外と難しいだろうなあと思いながら楽しませていただいた。
 第四部は会場に入ったときから目立つ楽器チェンバロを意識していた。数十年前に小林道夫氏によるチェンバロ演奏会を聴いたことがあり、記憶に残っている。ただ音楽好きの私はバロック時代の音楽、ヴィヴァルディの「四季」ぐらいしか多くを知らないが、今日はこのプログラムを楽しみにしていた。
 バロックという時代(歪んだ真珠)十六から十八世紀にヨーロッパ全土に盛行した動的な表現様式で古代ローマ、ロシアのセンクト・ペテルブルクなどで華やかに文化が花開いた。この日の演奏会はヴィヴァルディが見た日本の四季と名付けられ、私達が誰でも口ずさむことの出来る「花」などに代表される楽曲を全員四季.jpgで演奏してくれた。ヴィオリンの奏でるバロック、「アンサンブル・ヴィリデス」とともにバロック時代の中に聴衆は引き込まれた。
 愉快で美しい、全てが品格のあるバラエティーに富んだ音楽会であった。この企画を実現させてくれた前山先生、そしてそのスタッフの皆様に心から感謝と御礼を申し上げたい。芸術に国境のないそういう意味で最後に私の大好きなビートルズのジョン・レノンの「イムジン」の詩を書きます。

 

 

  イムジン(部分)

想像してごらん 国なんて無いんだと
そんなに難しくないでしょう?
殺す理由も 死ぬ理由も無く
そして宗教も無い
さあ想像してごらん みんなが
ただ平和に生きているって・・・

想像してごらん
はだの色が違っていても
国が違っていても
ことばがちがっていても
男や女、子供 大人がいても
いつか私もあなたもみんな仲間になって
平和に生きているって
きっと世界はひとつになるんだ 
            
                 ―ジョン・レノン―

 私が今日の音楽会で思ったことなので訳は違っているかもしれません。音楽は世界共通語、駒ケ根で一人の医師がこんな素敵な音楽会が開催できたことに参加者全員で敬意を表します。

 

 
 松井君子さんにはこのような素敵な感想文を寄せていただき、感激しました。最終曲の『あなたの名を呼んで』は、作詩作曲者の唐沢史比古先生に指揮を振っていただきましたが、この依頼は本番直前に唐沢先生にお願いして実現したも君の名を.jpgのサムネール画像のです。この曲に会場の多くの皆さんが涙したと聞きました。音楽会後、患者さんから診察室で「楽しかった」「感動した」「毎年開催してほしい」などの感想を頂戴し、主宰者冥利に尽きる思いをしております。今回の音楽会のプログラムは、クリニックスタッフによる手作りで、きれいな出来ばえにご好評をいただきました。本番前日には「こもれびの家」で厨房スタッフが静岡児童合唱団(静児)の皆さんに夕食を提供し、大変美味しかったと喜んでいただきました。音楽会当日は、受付、交通整理など、クリニック、こもれびの家スタッフが総出で音楽会を支えてくれました。音楽会の打ち上げでは、静児の子供たちが4グループに分かれて、自作の劇を披露してくれました。音楽ばかりではない静児の子供たちの才能に驚かされました。音楽会の翌日は天気にも恵まれ、駒ケ根キャンプセンターにて、飯盒炊飯、小出俊美さん提供の鮎の一夜干し、スイカ割りなどを楽しみました。こもれびの家のスタッフがお世話してくれて、静児の子供たちにとって、夏のいい思い出になったと思います。菅の台こまくさの湯でゆったりとお湯につかってもらい、無事に静岡への帰路につきました。クリニック、こもれびの家のスタッフの献身的な働きによって、音楽会は大成功のうちに幕を閉じました。この場を借りて、心より感謝いたします。第4回は3年後です。皆さん、健康で元気でいて下さいね。  

医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック ご予約・お問い合わせ 0265-82-8614