2011年4月アーカイブ|院長&スタッフブログ|医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック

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2011年4月アーカイブ

 当クリニックは内科胃腸科として開業しているため、便秘や下痢などの便通異常、腹痛、腹部膨満などの腹部症状で来院される患者さんがたくさんいらっしゃいます。胃・大腸内視鏡検査、腹部超音波検査、腹部CT検査などを行って診断し、病気や病態に応じた治療を行ってきました。先月号でも紹介しましたが、開業してこの9年間で胃・大腸癌は合わせて約100件見つけました。潰瘍性大腸炎、クローン病といった炎症性腸疾患の患者さんも約50名ほど当クリニックに定期通院しております。特に器質的な病気はないのだけれど、胃腸の働きに問題があって、腹部症状が出ている患者さんも多く見受けられます。過敏性腸症候群もその一つです。現代はストレス社会ですので、ストレスに敏感な胃腸が障害されるのは仕方ないかもしれません。
 最近、『「腸ストレス」を取り去る習慣』という本を読む機会がありました。著者は松生恒夫(まついけつねお)という消化器・内視鏡専門医で、地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、便秘外来で効果を上げている東京の開業医さんです。クリニックでの今後の診療にも参考になる内容でしたので、私の経験や考えも織り交ぜながら、前後編2回にわたって紹介させていただきます。
基本的な腸のメカニズム
大腸小腸.jpg まず、消化管の構造、働きを簡単に復習しましょう。食べ物は口の中で細かく噛みくだかれて、消化酵素を含んだ唾液と混ぜ合わされます。飲みこんだ食べ物は食道に入り、30秒から1分で食道を通過し、胃へ送られます。胃の中では、強い消化力を持つ胃液によってかゆ状に消化されます。これが少しずつ十二指腸に運ばれ、胆汁や膵液などの消化液によってさらに消化が進み、小腸へ運ばれます。小腸では食べ物が本格的に消化され、約4時間をかけて小腸を通過し、主要な栄養素はここでほとんど吸収されます。小腸で吸収されなかった食べカスがドロドロの液状になって結腸に送られます。結腸では、少しずつ水分やミネラルが吸収され、消化されない成分がだんだんと固まって便になります。直腸に押し出される時点では完全に「便」になっています。ある程度の便がたまると便意が起こり、肛門から排泄されるわけです。
 腸(大きく分類すると小腸と大腸)の長さは約7~9メートルで、うち小腸が6~7メートルです。腸は大きく分けて2つの運動を行います。食べた物を運ぶために、食べ物の残りかすを攪拌する「分節運動」と、腸の内容物を肛門の方へ一方通行的に送りだす「蠕動(ぜんどう)運動」です。「蠕動運動」の中でも、結腸全体、特に下行結腸からS状結腸にかけての強い収縮運動のことを「大蠕動」といいます。大蠕動は1日3~4回、食べ物や水分を摂取することをきっかけに起こります。大蠕動が起こると、結腸内にたまっていた便は直腸内に移動します。移動した便は骨盤内の知覚神経を介して、脳の中枢に伝達され便意が生じます。便意によって、腹筋の持続的収縮、直腸の収縮、肛門周囲にある肛門挙筋の収縮が起こり、便は肛門に向かって押し出されます。最後に、肛門の開閉を行っている肛門括約筋がゆるむことにより、便は肛門から体外に排出されるわけです。
消化吸収だけでない腸のメカニズム
①解毒・・・食べ物の中に含まれる有害成分や体内で生まれる毒素の多くは、老廃物となって大腸に行きつきます。毒の正体は、1つは食品添加物や残留農薬、汚染物質など体外から侵入するもので、もう1つは老廃物が長時間、体内に留まることによって発生する毒です。腸内ではこれらの毒が集まり、時に相互作用を起こしながら有害物質や有毒ガス、活性酸素などをため込んでいます。大腸は、これらの毒を便ごとに体外に排出する解毒器官として大切な役目を持っているのです。
②腸管免疫・・・小腸や大腸の粘膜には全身の約60%以上のリンパ球が集まっており、体の中で一番大きな免疫系を担っており、「腸管免疫」と言われています。腸は、体内に入ってきた色々な食べ物を栄養素として吸収する場所です。しかし一方で、体外から入ってくるものにはウイルスや細菌などの病原体など、有害なものがあります。腸管免疫にはこれらを排除する役割が備わっています。
 腸管免疫の環境に関与しているのが、腸に集中している四百種類余といわれる腸内細菌です。腸内細菌には腸の環境によく働く善玉菌と、悪さをする悪玉菌がいます。便秘や下痢などの便通異常が起こると悪玉菌が増え、腸内環境が悪くなって、腸管の免疫機能が低下します。腸管免疫には癌化した細胞を殺す作用もあるため、腸管免疫の低下は大腸癌の発生につながると考えられています。
 腸は単に食べ物の消化・吸収や排便を担うだけの臓器ではないのです。
セカンド・ブレイン(第2の脳)とは?
 最近の研究で、腸が独自のコントロール機能を持ち、脳にも指令を送っていることが明らかとなったため、腸は「セカンド・ブレイン(第2の脳)」と呼ばれるようになっています。具体的には、小腸、大腸をあわせた腸には、脳と同様に神経系、内分泌系が存在しており、約一億個の神経細胞が働いています。この数は脳の神経細胞数の約百五十億個に比べれば少ないものの、脳に次いで2番目に多く、これが「セカンド・ブレイン」と言われるゆえんです。
 腸管内を食べ物が通過すると、腸管の筋肉内にある神経細胞が感知して、腸の神経細胞からセロトニンという神経伝達物質が放出されます。セロトニンが腸に対して、腸管の蠕動運動を促し、便を直腸に押し出してくれるのです。腸は脳や脊髄からの指令なしに、自律的に蠕動運動を調整しているのです。
 腸はセカンド・ブレインとして独立して動いている一方で、脳とも相関しながら働いています。腸と脳は胎児の発生過程で、「神経管」という同じ原基から作られるため、両者が自律神経で密接につながっているのは納得できることです。この腸と脳のつながりのメカニズムは「脳腸相関」と呼ばれ、近年、研究者の間で注目されています。脳腸相関の異常をきたす病気の代表が「過敏性腸症候群」です。腹痛や便通異常が連動して起こる比較的若い方々に多い病気です。クリニックには約百名ほど定期通院していると思います。原因となる癌や炎症疾患がない機能的な消化管機能障害で、大腸や直腸に内容物が通過すると腸が過敏に反応して、下痢や腹痛を引き起こす病気です。
日本人では2人に1人が腸へのストレスを抱えている!
 大事な打ち合わせの前になると、上司から注意をされると、また、学生さんでは試験の前になると、などなどこんな時に腹痛や下痢になる経験は誰もが持っていると思います。著者は「日本人の腸とストレスとの関係」をテーマに、全国600名を対象にアンケート調査を行いました。ストレスを強く感じる時に出る症状をたずねたところ、「不眠」(49.8%)が最も多く、これに次いで「食べ過ぎ」(36.6%)、「胃腸等の痛み」(33.6%)などといった腸の症状が挙げられました。アンケートの結果、ストレスが腸の症状として現れる人は2人に1人の割合で認められるとわかりました。
 男女別に見ていくと、男性ではストレスを感じると現れる腸の症状が50代以降になると目立って増え、その上昇も「下痢」、「食欲不振」、「便秘」と多様になります。一方、女性の場合、「不眠」、「食べ過ぎ」が約5割を占めるものの、20代では「肌荒れ」の悩みが中心です。20代では他の年齢に比べ、「胃腸等の痛み」の割合が多いのも特徴です。30歳~49歳では「食べ過ぎ」、50歳からは「不眠」が主となります。女性の場合、食べることでストレスを発散させる傾向があり、50歳からは更年期症状としての不眠が目立つようになるのも納得できることです。
自律神経と腸の蠕動運動の関係
 自律神経とは、自分の意志とは無関係に体内のすべての調整を行っている神経で、交感神経と副交感神経があります。運動したりすると心臓の鼓動や呼吸が速くなったり、顔が紅潮したりするのは交感神経の役目です。一方、心臓をゆっくりと動かし、体全体をリラックスさせる働きをしているのが副交感神経です。交感神経と副交感神経はバランスを保ちながら働いていて、活動の活発な昼は交感神経が主に働き、夜寝ている時は副交感神経が主に働きます。
 腸の蠕動運動にこの自律神経は深く関わっています。リラックスした時、副交感神経が優位になると、腸の動きが良くなって排便が促されます。逆に緊張して交感神経が優位になると腸の動きは鈍くなり、排便が抑制されます。ストレスがあると自律神経の働きが乱れ、腸の動きが悪化し、全体的な消化管機能に悪影響を及ぼします。
 腹痛や便通異常をきたす過敏性腸症候群では、この自律神経に障害を来している事が多いため、腸の働きを調整するお薬だけでは症状が良くならない場合が3割程の患者さんにみられます。こういった患者さんでは、自律神経の働きを調整する安定剤や抗うつ剤を併用してあげると、症状が改善することがよくあります。
便秘を放置すると・・・
GUM06_CL04057.jpg 腸は便を排出することで体の解毒作用を担っているため、便秘になると体に毒素がたまってきて、様々な弊害をもたらします。老廃物から発生するガスが腸を汚し、腸内の悪玉菌を増やします。このため、腸内環境が悪くなり、便秘がさらに悪化する悪循環に陥ります。先に述べた腸管の免疫系も腸内環境と連動しているため、体の免疫力も低下することになります。便秘症がもたらす比較的目立つ症状としては、吹き出物やシミなどの肌荒れ、体臭、冷えやむくみ、肥満などです。重症の便秘となれば、精神活動にも不調が及び、抑うつ状態、過食・拒食などの摂食障害を認めることもあります。
 今までに言われたことのなかった新たな知見として、著者は胸焼けやゲップが多くなる逆流性食道炎と便秘との関係について述べています。便秘になると腸内にガスがたまることで腹圧が上がり、胃を圧迫することで逆流性食道炎が起こりやすくなるという理論です。逆流性食道炎の治療薬としてよく使用する胃酸分泌抑制剤がなかなか効かない患者さんでは、便秘を伴っている事が多く、便秘を改善すると逆流性食道炎の症状が改善すると述べており、なるほどと思いました。
 次回後編では、便通をよくする具体的な方法について紹介したいと思います。

【院長 前山浩信】

私の双子の子供たち

 今回は、子供たちのことを書かせていただきます。私には双子(女の子、男の子4歳)の子供がいます。今年から保育園の年中さんになりました。年少さんの頃は、2人ともクラスが一緒だったせいか、お互いが安心して過ごせていたようです。ですが、今年から別々のクラスになり戸惑いがあったようで、特に息子は甘えん坊のせいか、娘のクラスに行きたくて何度か教室を脱走していたそうです。
 そんな息子ですが、娘が泣いていると「僕がいるから大丈夫だよ。お手てつないでいてあげるからね」と言って頼もしい存在になってきました。娘は、私の長いスカートをはき「大きくなったらプリンセスになるの」と女の子らしいことを言うようになりました。今まで2人ともあまり喧嘩はせず、いつも仲良く遊んでくれています。そんな2人の姿に元気をもらい、「よ~し、明日も頑張るぞ!」と気合を入れて、毎日明るく笑顔でいられるように努力していきたいと思います。


こもれびの家スタッフ 小林みき

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