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2012年5月アーカイブ

 今年の3月で50歳となった私ですが、その頃に書店で目に止まった本がありました。『50歳を超えても30代に見える生き方』という本です。著者は南雲吉則(なぐもよしのり)氏で、東京慈恵会医科大学出身の元外科医で、現在は東京でナグモクリニックを開業されています。出身大学の非常勤講師、韓国や中国の医科大学の客員教授を務め、テレビ番組にも多数出演しているようです。ベストセラーに「ゴボウ茶を飲むと20歳若返る!」があります。
 先月のすずらん新聞で、「私には百歳まで生きて、多くの患者さんの健康のために役に立っていきたいという目標があります。」と書いた所、何人かの患者さんから嬉しかったとのお言葉をいただきました。この本には、副題として「人生百年計画の行程表」とあります。皆さんにも健康で百歳まで生きて欲しいとの願いがありますし、なかなか説得力のある本でしたので、3回に渡って紹介していきたいと思います。
南雲氏が人生百年計画を立てたわけ
 南雲氏は勤務医時代に「医者の不養生」を絵に描いたような日々を送っていました。暴飲暴食を重ね、40代にさしかかろうとした頃、肥満.gif身長173cmで体重が77kg、腹周りには脂肪がたっぷりついていました。この頃の南雲氏は、タバコも吸い、ひどい便秘症で、トイレで力むたびに不整脈を起こしていました。南雲家は代々の医者家系でしたが、祖父は52歳、父親は62歳で心筋梗塞で倒れたそうです。このままでは自分も同じ運命をたどると危機感を覚えた南雲氏は、一念発起をして健康管理に取り組むようになりました。50歳は人生の折り返し、そこから若く美しく健やかな第二の人生を50年楽しむことを目標に、「人生百年計画」が作られました。2011年で56歳になる南雲氏は、体重は15kg減って、脳年齢38歳、骨年齢28歳、血管年齢26歳、実年齢よりも20歳以上も若い肉体になっています。
人は130歳以上は生きられない
 世界一の長寿者として記録されているのは、フランスの女性で1997年に122歳で亡くなっています。それ以前の世界記録は、日本人の泉重千代さんの120歳です。歴史的にもキリスト教の預言者モーセ老人.jpgが120歳、神武天皇も125歳と言われています。昔から長寿の祝いに、60歳の還暦から、古希、喜寿、傘(さん)寿、米寿、卒寿があり、120歳は大還暦(60歳の倍)と呼ぶそうです。ところが、130歳には呼び名がありません。中国4千年の歴史の中で、130歳以上生きた人がいない証しでしょう。なぜ120歳代が人の寿命の限界なのでしょうか?
命の導火線「テロメア」
 ちょっと難しい話になりますが、この本の味噌になる部分ですので説明します。人の細胞は分裂を繰り返していますが、同じ細胞が複製されるためには遺伝子情報も正しくコピーされる必要があります。細胞には核という目玉のような形の器官があって、人間では46本の染色体が収まっています。染色体は二本のDNAという「より糸」でできていて、このDNAの中に様々な遺伝情報が書き込Telomere.jpgんであります。この「より糸」が絡まないように、DNAの端(ギリシャ語でテロ)の部分(ギリシャ語でメア)にもつれ防止の結び目がついています。これが、テロメアです(左図の赤丸の部分)。細胞分裂の際、DNAは細胞内の複製酵素「DNAポリメラーゼ」によって、テロメアは複製酵素「テロメラーゼ」によってコピーされていきます。ところが面白いことに、テロメラーゼの方はこの世に誕生した途端に働かなくなってしまうのです。つまり、DNAは出生後もコピーされ続けますが、テロメアはコピーされずに、細胞分裂の度にどんどんすり減っていきます。テロメアがなくなる時が、その細胞の死になるわけです。テロメアの長さによって、それぞれの生物の寿命が決まっているのです。まさに、テロメアは「命の導火線」というわけです。私たち人間では、このテロメアの長さ、つまり寿命が120歳と決められているのです。
不摂生がテロメアをどんどん短くする
 人間の寿命が120歳と言っても、実際にそこまで生きられる人はほとんどいません。それは、多くの人が不摂生によってテロメアを早く短くしてしまうからです。人の体は管(くだ)でできています。口から肛門までの「消化管」、鼻から肺までの「気管」、全身に血液をめぐらせる「血管」です。こうした管は栄養や空気の通り道で、内側は「上皮」というバリアで覆われています。暴飲暴食や喫煙、睡眠不足、運動不足などの不摂生を繰り返すことにより、上皮が荒れ、「炎症」を起こします。具体的には、上皮が「赤くなり」、やがて「痛み」や「熱」「腫れ」が生じ、息がしづらくなったり、食べづらくなったりする「機能障害」が現れるのです。私たちの体には、必死になって治そうとしてくれる自然治癒力があります。傷めつけられた上皮を新しくするために、細胞分裂を早めて回復をはかろうとします。ところが、細胞分裂が早まれば、テロメアはどんどん短くなってしまいます。つまり、不摂生は寿命を短くすることになるわけです。
ガンは悪者ではない!?
 私がこの本で一番衝撃を受けたのは、「ガンは悪者ではなく、必要があって生まれてくる」という南雲氏の主張でした。これを説明するのに、前述したテロメアが関係してきます。不摂生の繰り返しにより上皮が障害を受け続けると、テロメアが限界に達して、細胞が分裂ができなくなります。細胞が修復できないと普通は穴が開いて死んでしまうわけですが、それでも何とか穴を塞いで生命を維持しようとする細胞が現れます。テロメアを修復する酵素テロメラーゼを持って「無限に分裂を繰り返す修復細胞」、人間の体にとっては救世主ですが、その名が「ガン」なのです。ガンには私たちの命を奪う乱暴者のようなイメージがつきまとっていますが、じつは私たちの不摂生の尻ぬぐいをするために現れてくれた修復細胞なのです。何も問題なければ120年は長持ちするはずのテロメアという細胞時計が、私たちの不摂生によりどんどん短縮され、ガンの発生を招くのです。『ガンは悪者ではなく、悪いのは私たちの生活習慣である。ガンを恨み運命を呪うのではなく、ガンを起こした行いを改め、その行いを起こした心を改めれば、その日からガンにはかかりにくくなる。』という南雲氏の言葉には説得力がありました。
 次回も南雲氏の本の紹介をする予定です。                           
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