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2013年3月アーカイブ

 題名を見て「何のこと?」と思われる方が多いと思います。私自身も最近になって、テレビや新聞で知った疾患概念です。前回まで3回に渡って「老けない太らない体を作る」というテーマで、筋トレの大切さをお話しいたしました。この話とも関わりのある疾患概念ですので、紹介いたします。
ロコモ症候群とは?
 正式にはロコモティブ・シンドローム(以後はロコモと略します)で、日本語では「運動器症候群」といいます。2007年に日本整形外科学会が提唱したものです。『加齢に伴う筋力の低下、関節や脊椎の病気、骨粗鬆症などにより運動器の機能が衰えて、要介護・要支援の状態や、そうなるリスクの高い状態』を表す言葉です。ロコモを予防し、要介護・要支援を減らそう、高齢者が心身ともに自立して暮らせる期間である『健康寿命』を伸ばそうという、日本整形外科学会が主導している取り組みです。
ロコモはなぜ重要なのか?
 要介護・要支援認定者は、10年前に比べて約2倍にも増加しています。その主な原因として、第1位は脳卒中(21・5%)、第2位は認知症(15・3%)ですが、転倒・骨折、関節疾患など運動器疾患を原因とするロコモは合計で22・9%と脳卒中に匹敵する割合になっています。脳卒中などからの要介護や寝たきりを防止するために取り組まれているのが、メタボリック・シンドローム(メタボ)の予防ですが、前述した統計からは、メタボの予防だけではなく、ロコモの予防も重要なことがわかると思います。
ロコモの原因、主な病気は?
 ロコモは骨・関節・筋肉などの運動器の障害に起因する疾患です。主な原因ロコモ体操1.jpgは2つで、「骨や関節の病気」と「筋力・バランス能力の低下」です。「骨や関節の病気」の代表格が、骨粗鬆症、変形性関節症、腰部脊柱管狭窄症で、皆さんよく聞き覚えのある病気と思います。
 骨粗鬆症は、骨が弱くなって軽い衝撃でも骨折してしまう、閉経後の女性に多い病気です。骨密度を測定すれば簡単にわかります。当クリニックでも、かかとの骨の超音波測定による骨密度測定が可能ですので、心配な方は声をおかけ下さい。変形性関節症は軟骨の加齢が原因で、膝関節や股関節に負担がかかることで痛みが出て、歩行障害を来します。
 腰部脊柱管狭窄症は、椎間板の変性、靭帯や椎間関節の肥厚、椎体のずれなどにより、文字通り、脊柱管が狭くなって、脊髄神経が慢性的に圧迫され、神経に沿って走る血管の血流低下が起こる病気です。症状としては、下肢のしびれや痛み、歩行障害、感覚障害によるバランス力の低下や下肢の筋力低下などがみられます。
 これら骨や関節の病気は、薬物や手術などの治療が必要になります。病気ではなく、「筋力・バランス能力の低下」の方は、自分でチェックすることができます。
7つのロコモチェック
 日本整形外科学会が2010年度に発表したものを次に挙げます。
①片脚立ちで靴下がはけない。
②家の中で、つまロコモ体操2.jpgずいたり、滑ったりする。
③階段を上がるのに、手すりが必要である。
④横断歩道を青信号で渡りきれない。
⑤15分くらい続けて歩けない。
⑥2㎏程度の買い物をして持ち帰るのが困難である。(1リットルの牛乳パック2個程度)
⑦家のやや重い仕事が困難である。(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
 上記の1つでも当てはまれば、ロコモである心配があります。日本整形外科学会では、開眼片脚立ち、スクワットの2つの運動(ロコトレ)とともに、ストレッチ、関節の曲げ伸ばし、ラジオ体操、ウォーキング、各種スポーツなどのその他のロコトレを積極的に行うことを推奨しています。2つのロコトレの方法を図で紹介いたします。
サルコペニア肥満って何?
 筋肉は老化や運動不足などで使わない状態が続くと衰えて細ります。「サルコ」は筋肉、「ペニア」は減少という意味です。筋肉の量が減って、体の機能が低下した状態に、肥満が加わったものを『サルコペニア肥満』と呼びます。男女ともに60代でサルコペニア肥満が増え始め、70代以上になると約3割の高齢者が該当、男性よりも女性に多い傾向があるようです。女性では閉経すると内臓脂肪がつきやすくなり、そこに筋肉量の減少が重なることが原因と考えられています。
気づきにくいサルコペニア肥満、何がこわい?
 サルコペニア肥満がやっかいなのは見た目では分かりづらいということです。下の写真は身長も体重もほぼ同じ70代男性の太もものMRI画像です。右の正常な人では、筋肉の回りの脂肪(白い部分)は少なめです。ところが、左のサルコペニア肥満の人では、太ももの太さは同じですが、筋肉が少なく回りの脂肪が非常に多くなっています。見た目では気づきにくいことが分かると思います。
サルコペニア大腿骨.jpg サルコペニア肥満の判定方法はまだ確立したものはないようです。一つの目安として、市販の体組成計で、筋肉の割合が男性では27・3%、女性では22%に満たない場合、あるいは体格指数のBMIが25以上の場合、サルコペニア肥満といえるようです。
 サルコペニア肥満になると、高血圧になる危険度が2倍に上昇し、放置すれば様々な生活習慣病を発症するようになります。さらに、歩行中に転倒しやすくなり、骨粗鬆症を併発している女性では骨折を来し、寝たきりになる場合もあります。
サルコペニア肥満の予防と解消
 サルコペニア肥満の予防と解消は、筋力アップと脂肪を減らすことに尽きます。特に下半身の筋トレが重要ですので、この紙面で紹介しているロコトレ、開眼片脚立ちやスクワットを積極的に行うと良いでしょう。
 前回のシリーズでもお話した通り、筋肉量を取り戻すには、肉や魚などの動物性蛋白質を積極的に摂取することが大切で、効率を高めるためにサプリメントの「プロテイン」を利用するものいいかと思います。筋トレ後30分以内にプロテインを摂取するのは効果的です。脂肪を減らすには、筋トレに有酸素運動を組み合わせるのが効果的です。前回号でお話した通り、筋トレをやってから、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行うと、脂肪燃焼率を高めることができます。
 筋肉量は20代をピークとして、50代から急激に減少します。サルコペニア肥満は高齢者に多いタイプの肥満ですが、中高年のうちから注意が必要です。筋肉量が少ない人、体格指数が高めの人はサルコペニア予備軍と考えられますので、30代から50代の幅広い世代で筋トレに取り組む必要があると思います。
                                     【院長 前山浩信】
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