現代の病 逆流性食道炎を知ろう! 院長&スタッフブログ | 医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック

院長&スタッフブログ
まえやま内科胃腸科クリニックWebサイトへブログトップヘ
トップページ > 院長&スタッフブログ > > 現代の病 逆流性食道炎を知ろう!

現代の病 逆流性食道炎を知ろう!

 食べ過ぎたり、飲み過ぎたりした時、「胸焼け」を感じた経験は、多くの方が持っているかと思います。みぞおちの辺りから胸の下の方にかけてチリチリした熱くなるような不快感、のどの方まで熱さがこみ上げる感じ、これが「胸焼け」です。ピロリ菌感染の多かった日本人では、欧米人に比べて逆流性食道炎が少ないと言われてきました。昔に比べて公衆衛生が改善し、ピロリ菌感染率が低下したこと、食事が欧米化し、胃酸分泌を促す脂肪分の多い食事を摂取する機会が多くなってきた現代日本では、逆流性食道炎の患者さんが増えてきています。今回は、逆流性食道炎を取り上げます。
逆流性食道炎はなぜ起こるのか?
 食事をすると、食物を消化するために、胃の粘膜は消化液や胃酸を含んだ胃液を多胸やけ.jpg量に分泌します。胃液は強い酸性のため、健康な胃では粘膜に付着した粘液が胃粘膜を酸から保護しています。ところが、食道の粘膜は粘液が乏しく、酸に弱いため、胃液の逆流によって簡単にただれてしまいます。これが、逆流性食道炎です。
 胃酸の分泌を促す油っぽい食事、アルコールやコーヒーなどの食品を摂取し過ぎると、起こりやすくなります。もう一つ逆流性食道炎が起こりやすくなる理由としては、食道と胃のつながり目にある下部食道括約筋の低下があります。下部食道括約筋は、食事を摂取して食道から胃に食塊が通過する際にゆるんで、それ以外の時は、胃内容物の食道への逆流を防ぐために締まっています。加齢や肥満、アルコールの過剰摂取などにより、下部食道括約筋の働きが悪くなると、逆流性食道炎が起こりやすくなります。
 内視鏡で観察すると、食道下部が乳白色に変色したり、赤くなったり、さらに、食道粘膜が脱落して、びらんや潰瘍を形成する場合もあります。内視鏡医を20数年務めてきた私が感じるのは、以前に比べて逆流性食道炎が増えているということです。欧米での逆流性食道炎の罹患率は成人では約40%と言われていますが、日本でも逆食画像.jpgそれに近づいている印象があります。
胃酸逆流症状にはどんなものがあるか?
 胃酸逆流症状としては、胸焼け、胸痛の他に次のようなものがあります。口の中まで酸っぱい液がこみあげる呑酸(どんさん)、食道上部でのつかえ感、のどの痛みや違和感、声かれ、逆流した胃酸を気管支に吸い込んでの咳き込み、耳の痛み、狭心症のような心臓の痛みとして感じるなど、患者さんが胃酸逆流と気がつきにくい症状もみられます。
逆流性食道炎からバレット食道、食道癌へ
 食道粘膜は扁平上皮という上皮から成っていますが、逆流性食道炎が慢性化すると、食道上皮が胃の上皮と同じ円柱上皮に変化することがあります。これをバレット食道といいます。食道上皮はどちらかというと白っぽい色合いですが、バレット食道になると少し赤みのある色合いに変化します。バレット食道は欧米人に多く甘いもの.jpgみられ、食道癌になりやすい状態と考えられています。日本でも欧米なみに逆流性食道炎の患者が増えている現状ですので、今後は食道癌が増加することが心配されます。
逆流性食道炎を予防する五カ条
 私がいつも逆流性食道炎の患者さんに話すことです。
①胃酸が出やすい食品を控えましょう。油もの、甘いもの、辛いもの、コーヒーなどカフェインの多いもの、コーラなどの炭酸飲料、アルコールなどです。
②食アルコール.jpgべてすぐに横にならないように、食べてすぐに腰をかがめる仕事をしないようにしましょう。どうしても横になりたい時は、頭を高くするか、右を下にして寝ましょう。
③ゆっくり食べ、食べ過ぎないようにしましょう。
④腹圧を上げないため、重いものを持たないようにしましょう。前屈みを避け、ベルトを強く締めないようにしましょう。排便時に力まないようにしましょう。
⑤肥満の解消に努めましょう。
逆流性食道炎の治療
 胸焼け症状の出やすい患者さんや内視鏡上、食道に中等度の炎症所見がある場合、薬物療法を行います。
①プロトンポンプ阻害薬。第1選択で使われる強力な胃酸分泌抑制剤です。タケプロン、ネキシウム、オメプラール、パリエットなどがあります。再発や再燃を繰り返す患者さんでは、生涯内服が必要な場合もあります。
②H2ブロッカー。前記より胃酸分泌抑制作用は弱く、維持療法として使用されることが多い薬剤です。ガスター、ザンタック、プロテカジンなどがあります。
③食道粘膜保護剤。食前に内服し、食事の前に食道粘膜を胃酸から保護する薬です。アルロイドG(ドロっとした水薬)がよく使われます。
④消化管機能改善剤。胃腸の蠕動運動を促進することで、胃液を早期に十二指腸に送りこみ、胃酸の食道への逆流を予防します。ナウゼリン、ガスモチン、アボビスなどがあります。
ピロリ菌の除菌と逆流性食道炎
 ピロリ菌除菌治療の一番の弊害として、逆流性食道炎があります。なぜ、ピロリ菌を除菌すると、逆流性食道炎が起きやすくなるのか・・・2つの理由があります。ピロリ菌感染による胃炎状態では、胃酸の分泌が低下すること、そして、ピロリ菌は強い酸の海である胃内で生き抜くために、自分の周りをアルカリ性にして酸を中和している性質があるからです。つまり、ピロリ菌がいなくなると、胃酸分泌が亢進し、さらに、胃の酸度が上がるために、逆流性食道炎が起こりやすくなるわけです。ピロリ菌を除菌した患者さんの1割程で胃酸逆流症状がみられますが、しばらくすると症状が軽快することが多いようです。ただし、ピロリ菌を除菌したがために、胃酸逆流症状が持続し、胃酸分泌抑制剤の内服を続けなければならなくなる患者さんもいます。そういった点もよく考慮して、ピロリ菌の除菌治療の適応を決めるべきだと思っています。

医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック ご予約・お問い合わせ 0265-82-8614