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2015年8月アーカイブ

 三大栄養素と言えば、炭水化物、タンパク質、脂肪ですが、炭水化物の多い食品と言って、皆さんが頭に浮かぶのはどんな食原始人.jpg品でしょうか。ご飯、パン、麺類などですよね。ここで、旧石器時代と現代で、食事の栄養源がどれだけ違っているのか?大きな違いは炭水化物摂取量の差です。石器時代では、炭水化物の摂取量は全体の5%、現代では60%に及んでいます。さて、旧石器時代になくて、現代にある病気と言えば何でしょうか?心臓疾患、糖尿病、認知症、うつ病、肥満などです。現代人は炭水化物を過剰に摂取することで様々な病気に悩まされている、特にグルテンの過剰摂取に注意が必要という本に出会いましたので、内容をかみ砕いて紹介します。ちょっと衝撃的なタイトルですが、『いつものパンがあなたを殺す』です。米国の神経科医デイビッド・パールマターが著し、訳者は日本で百歳健康法でおなじみの白澤卓二氏です。
過剰な炭水化物摂取が引き起こすこと
 炭水化物は「糖質」と呼ばれることもある通り、体内に消化吸収されると血中でブドウ糖に変わり、体や脳の活動に欠かせないガソリン(エネルギー源)になります。このブドウ糖の代謝を調整しているのが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンです。インスリンは血中のブドウ糖を肝臓や筋肉に取り込むことで、血中のブドウ糖の値が高くならないように調整しています。現代人の食事は炭水化物にあふれていますので、血中のブドウ糖が高めになり、膵臓はインスリンをせっせと出し続けます。膵臓が疲れ果て、インスリンの分泌が低下し、血糖の上昇が抑えられなくなるの膵臓.jpgが糖尿病です。血液中の過剰な糖は、ガラス破片のように体の細胞を傷つけ、網膜症、腎症、神経障害などを引き起こします。さらに、糖尿病は免疫力を低下させ、感染症や癌を発症させやすくします。
 体の中の細胞から見ると、血中のインスリンが過剰な状態が続くと、細胞表面のインスリンが働く受容体の数が減少し、ブドウ糖があまり細胞内に取り込まれないように変わっていきます。これがインスリン抵抗性と言われる状態で、これも血糖を上昇させることになります。さらに、インスリン抵抗性の状態が、脳でのアミロイド沈着を促進し、アルツハイマー病の発症に関わることが分かってきています。最近、アルツハイマー病が第三の糖尿病と言われるようになった理由がここにあります。
 1994年に米国糖尿病学会が米国民に対して、カロリーの60~70%を炭水化物で摂取するように勧告しました。日本でも糖尿病食での炭水化物の占める割合は同様の指導をしています。ところが、この勧告以降約10年間で、米国での糖尿病患者は倍増したようです。また、2011年日本での60歳以上の男女千人の調査により、糖尿病患者ではそうでない人に比べて15年以内にアルツハイマー病を発症する可能性が二倍であることが分かりました。
 もう一つ炭水化物の過剰摂取がやっかいなことは、体重増加につながるということです。摂取した炭水化物がブドウ糖に変わると、膵臓からはインスリンが分泌され、ブドウ糖を肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄積させることはすでにお話ししました。ところが、肝臓や筋肉にこれ以上のグリコーゲンが蓄積できなくなると、体脂肪に変わってしまうのです。現代人に古代人にはなかった肥満が多い理由がここにあります。著者は畜産農家の次のような例をあげて、炭水化物の過剰摂取に警笛を鳴らしています。「考えてもみよう。多くの畜産農家が家畜に脂肪やタンパク質ではなく、コーンや穀物のような炭水化物を与え、太らせて出荷しているのだ」と。
グルテンの恐怖
 「グルテン」という言葉はあまり聞きなれない方が多いかもしれません。グルテンはタンパク質の混合物で、粘着性のある物質として作用し、食べ物をふわりとさせます。水と小麦粉を混ぜて手でこねて丸め、そのかたまりを流水の下で洗い、デンプンとタンパク質を流してしまえばネバネバする物質が手に残り、グルテンを体感することができます。小麦などの穀物に含まれている他、ありふれた添加物としてアイスクリーム、ホットドッグ、ソーセージ、マヨネーズ、ケチャップ、チーズ、シロップ、ビールなど多くの食品に使われています。
 グルテ食パン.jpgンに対する過敏症として「セリアック病」という自己免疫疾患があります。グルテンに対する異常な免疫反応で発生した自己抗体が小腸の上皮を攻撃し、慢性の下痢、腹痛、腹部膨満、栄養失調などを来す病気です。日本ではまれな疾患とされていて、私もセリアック病の患者をみたことはありません。セリアック病では消化器症状の他に、記憶障害、認知機能低下、てんかん、人格変化などの神経症状が現れることがあります。この著者は神経科医で、様々な神経症状の患者を診察する中で、原因不明の神経疾患を抱える患者の中にグルテン過敏症の患者がいて、グルテンフリーの食事指導をすることで、劇的に症状が回復した例をいくつか紹介しています。グルテン過敏症が関連する疾患として、注意欠陥多動性障害(ADHD)、アルコール性依存症、筋委縮性側索硬化症、自閉症、うつ病、糖尿病、関節リウマチ、心臓疾患、過敏性腸症候群、アルツハイマー病、統合失調症、パーキンソン病、てんかんなどを挙げています。著者はグルテン過敏症でなくても、現代人の健康、特に脳にグルテンが悪影響を及ぼしていると述べています。
グルテン依存の問題
 グルテンは胃で分解され、血液脳関門を通過できるポリペプチド混合物になります。これが脳に入り込むと、脳のオピオイド受容体と結合し、感覚的な恍惚状態を生み出すことが分かっています。ドーナッツ、スコーン、クロワッサンなどを食べた後に、もし急に楽しい気分になったことがあるなら、それは思い込みではないと著者は述べています。食品メーカーが製品の中に、できる限りたくさんのグルテンを詰め込もうとするのは当然で、多くの人がグルテンたっぷりの食品にやみつきになっていて、「グルテンは我々現代人のタバコ」と警笛を鳴らしています。
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