グルテン過剰摂取警報~後編~ 院長&スタッフブログ | 医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック

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グルテン過剰摂取警報~後編~

アイス.jpgのサムネール画像 前号の新聞を発行してから、三人の女性の患者さんから次のような話がありました。「先生、困るわあ。私、パンやパスタやアイスクリーム大好きなのに。どうしたらいいの?」一人の方は「先がそんなに長くないし、私は大好きなパンを食べ続けるわよ」と仰っておりました。昔、食品関連の会社を立ち上げた高齢の男性の方からは、「あの記事を読んで、私はパンを食べるのを一切やめましたよ。家内は食べ続けていますが・・・」反響の大きさに驚いていますが、そのグルテンの話題で今回もお話しいたします。デイビット・パールマスター著『いつものパンがあたなを殺す』(三笠書房)、副題として「脳を一生、老化させない食事」とありますが、内容がやや難しく、かなり過激なので、内容をかみ砕いてソフトにして紹介させていただきます。
血糖を急激に上昇させる食品とは?
 前号では、現代人は炭水化物を過剰に摂り過ぎていて、それが糖尿病を始めとする生活習慣病を生んでしまっているというお話しをしました。ここで、著者が医療関係者に講演する際に、4種類の食べ物のスライドを見せてから質問するというお話を紹介します。その4種類の食べ物とは、①全粒小麦パン、②チョコバー、③精白糖大さじ一杯、④バナナです。質問は「もっとも血糖を急増させる食品は?」です。皆さん、どう思いますか?③の精白糖だと思う方パン②.jpgのサムネール画像が多いかと思います。医療関係者でも正解される方はほとんどいないそうです。
 ここでグリセミック・インデックス(GI値)を紹介します。GI値とは、ある食べ物を食べた後に、血糖値がどのくらい急激に上昇するのかを計測した数値です。GI値はゼロから100までの範囲で、血糖を急激に上昇させる食べ物ほど高い値になります。純粋なブドウ糖のGI値を100としています。さて、前述の4種類の食品で、一番GI値が高いのが①全粒小麦パン(GI=71)です。意外に思いますよね。その他、高い順に言いますと、③精白糖(GI=68)、④バナナ(GI=56)、②チョコバー(GI=55)となります。精白小麦で作ったパンのGI値も71で、全粒小麦なら体にいいと考えるのはやめるべきのようです。
 著者は、「現代人にグルテン過敏症が増える理由は、今日の加工保存食品に含まれる多量のグルテンにさらされているばかりではなく、糖質(炭水化物)、炎症を促進する食べ物(マーガリン、ショートニングなどのトランス脂肪酸の多い食品)、環境有害物質(空気や土壌や水に含まれる体に悪影響を与える微量な物質)を過剰に摂取している結果でもある。現代人の脳においては、特に最悪の状況を生み出している。つまるところ、炭水化物は、私たちの体に害をなす成分の源なのだ。」と述べています。
「脂肪を蓄積せよ」という遺伝子
 前号で紹介しましたように、古代人は食事のうち7割を脂肪から摂取していました。脂肪は人間の代謝にとって好適な燃料であり、人間の進化のすべてを支えてきました。だからこそ、私たちは過去二○○万年に渡って、高脂肪の食事をしてきました。その後、わずか一万年ほど前に農業が行われるようになって初めて、食料として炭水化物が豊富に供給されるようになったに過ぎません。私たちはいまだに高脂肪の食事で生き抜いてきた狩猟採集民族の遺伝子を持っています。いわゆる「倹約遺伝子」です。長期におよぶ食糧不足に備えて、食料が豊かな時に脂肪を蓄えるように、体内にそのメカニズムが組み込まれています。この倹約遺伝子のおかげで、人間は食料が十分ある時に太ることができ、食料不足に備えることができました。
 その後、食べ物が手に入れやすくなった時代においても、倹約遺伝子はなおも活発に働いています。この倹約遺伝子の指示を無視するように人間が進化するには、これから四万年から七万年かかるといわれています。倹約遺伝子は、やってこないであろう飢饉に備えさせ、現代人に肥満を蔓延させ、糖尿病の患者を多くしています。さらに、現代人は炭水化物を過剰に摂取していますので、脂肪蓄積に拍車をかけているといえるでしょう。
脳が静かに燃えていくという恐怖炎②.jpgのサムネール画像
 炎症といえば、蜂に刺されたところが痛むとか、風邪を引いて喉が痛いとか、膝や肘の関節が痛むとか、といったイメージがあります。こういった時に血液検査をすれば、炎症の程度を表すCRP値が上昇したり、白血球数が上昇したりといったことが起こっています。こういった炎症は体感できますし、客観的に数値として目に見えてきます。この本では「脳の炎症」という言葉が頻繁に出てきます。私もどういうことか最初イメージができませんでした。著者は、脳炎とか脳脊髄炎といった急性のものではなく、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、自閉症、うつ病といった慢性的な脳の病気に起こっている、静かに燃えている「炎症」として説明しています。脳には体の他の部分と違って、痛みを脳②.jpgのサムネール画像感じる受容体がありませんので、人間は脳の炎症を感じることができない、だからこそ恐怖なのだと述べています。そして、この脳の炎症に深く関わっているのが、炭水化物やその一つであるグルテンの過剰摂取なのだ、という事がこの本の一番の主張になっています。様々な研究データが示されていますが、紙面の都合上、ここでは割愛します。
炭水化物、グルテンを抑えた食事を考えよう!
 欧米では日本と違ってパンが主食ですので、グルテン過敏の方が多いことは予想されます。日本の食品ではグルテンの有無の表示はありませんが、米国では今や当たり前で、ごく普通の食料品店でも「グルテンフリー製品」の品ぞろえは豊富のようです。過去数年で、米国で販売されたグルテンフリー製品の総額は爆発的に上昇し、業界全体では2011年に約6300億円を達成し、なおも上昇を続けているそうです。このグルテンフリー食品への関心は、皆さんもご存じの世界ランキング1位のテニスプレイヤー、ジョコビッチ選手の話が火を付けました。彼は、2011年からグルテンフリーの食事を取り入れ、その後まもなく世界ナンバーワンに登りつめたのです。
 話が変わりますが、私が小学校時代、学校給食で出された主食はコッペパンでした。宮田中学校に上がってまもなく、新しい校舎に移転し、そこで給食は教室ではなく、全校生徒が一同に食堂に会して食事をするようになりました。その頃から、米食が取り入れられるようになったと記憶しています。この本の訳者、白澤卓二先生はあとがきで次のように述べています。「五十代の方は、学校給食で出されたコッペパンから始まって、パンを暴力的に浴びて育ち生きてきました。脳の働きをよくし、認知症を防ぐというこの二つの課題を同時にこなさなければならない五十代になっても、相変わらず炭水化物中心の食生活を続けていたら取り返しがつきません。」と。
 五十代の方に限りませんが、パン、麺類、パスタ、焼き菓子類、シリアルなどグルテンが豊富な炭水化物食品は控えめにしたらいかがでしょうか。朝食がいつもパン食の方なら、米食に変えるのもいいかもしれません。グルテン過敏でなければ、グルテンフリー食にする程のことはないと思いますが、脳を守るという意味で、食生活を一考する必要はあるかと思います。
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