2015年10月アーカイブ|院長&スタッフブログ|医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック

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2015年10月アーカイブ

 

油の摂り方変遷.jpg「油」というと少量でもカロリーが高く、摂り過ぎると脂肪蓄積の原因となる印象がありますよね。私も診察の場面で、血糖や中性脂肪が高めの方には、「甘いもの、油ものを控えめにして、繊維物をしっかり摂りましょう」と話すことが度々です。実際には「油」には体に良い油と悪い油があり、積極的に摂るべき油もあることを知っておく必要があります。どんな健康本にも積極的に摂取すべき油として紹介されるのが、青魚に多く含まれるEPAやDHAです。今回は、『「海の油」と「陸の油」のお話し』というタイトルで、積極的に摂るべき油、控えるべき油を整理します。
「海の油」と「陸の油」
 「油」というと灯油やガソリンなどの燃料油も含まれてしまいますよね。実は生命に関わる油は「脂質」と呼ばれます。コレステロールが高い状態を、以前は高コレステロール血症と呼んでいましたが、今は脂質異常症と呼ぶようになっています。なぜかと言いますと、コレステロールには悪玉のLDLコレステロールと、善玉のHDLコレステロールの2種類があって、HDLコレステロールが低い状態は体にとって良くないのですが、高コレステロール血症ではこの病態を表現できないからです。
 さて、脂質を構成しているのは「脂肪酸」という物質で、脂質は脂肪酸の種類によって、いくつかに分類されています。基本的には常温で固まる油が「飽和脂肪酸」、常温で固まらない油が「不飽和脂肪酸」と呼ばれます。以前は、飽和脂肪酸が動脈硬化を進行させ、不飽和脂肪酸が動脈硬化を予防すると言われていましたが、現在ではこれは間違いであることがわかっています。実は、飽和脂肪酸の一種である「中鎖脂肪酸」が、今、認知症予防の救世主として注目されています。ココナッツオイルやココナッツミルクに含まれている中鎖脂肪酸については、次号で紹介します。一方のヘルシーと言われてきた「不飽和脂肪酸」ですが、大きく「オメガ3系脂肪酸」「オメガ6系脂肪酸」「オメガ9系脂肪酸」の3種類に分かれています。青魚に多く含まれるEPAやDHAは「オメガ3系脂肪酸」に属しこれらが「海の油」です。一方、豚肉や鶏肉、植物由来の油に多く含まれるアラキドン酸は「オメガ6系脂肪酸」に属しこれが「陸の油」になります。この一般の人に分かりやすい油の分類を提唱しているのが、百歳健康法でおなじみの白澤卓二先生です。
「海の油」と「陸の油」のバランスが決め手!
 日本人の魚の消費量は1970年代から増えています。健康長寿のために魚を食べた方がいいいことが分かり、多くの人が意識して魚を摂るようになったにも関わらず、脳卒中や心筋梗塞の発症率は一向に下がりません。なぜでしょうか?それをよく示している上のグラフをご覧ください。上の棒グラフを見ると、魚の脂質(海の油)の摂取量は、1970年代からわずかながらも増えています。一方で植物性脂質と動物性脂質(陸の油)の摂取量は1970年代から急速に増えています。下の折れ線グラフをご覧ください。総脂肪に対するEPAの推定比が1950年代からぐっと下がり、それに半比例する形で、脳梗塞や虚血性心疾患の死亡率が上昇しています。つまり、日本人は魚の油はそれなりに摂取しているのですが、それ以上に陸の油を過剰に摂取しているため、脳や心臓の血管をボロボロにさせてしまっているというわけです。
心筋梗塞.jpg血管の炎症を引き起こす「陸の油」
 サラダ油、コーン油、ベニバナ油、ナタネ油などの植物性の油ですが、その名前からか体には良いものというイメージを持っている方が多いかと思います。実は、これらの植物性の油はオメガ6系脂肪酸であるリノール酸やγリノレン酸を多く含んでおり、酸化するとアラキドン酸に変化するのです。アラキドン酸は、過剰に摂取すると血管の炎症を招き、血栓ができやすくなります。豚肉や鶏肉にもアラキドン酸が多いのですが、これら肉の油と植物性の油は成分としては同じ性質のものだという認識が必要です。植物性の油は炒め物や揚げ物に使われたり、加工食品に利用されています。肉をそれほど食べていなくても、炒め物、揚げ物や加工食植物油.jpg品を頻繁に食べていると、植物性の油、つまり陸の油を過剰に摂取することになり、体には害になってしまいます。炒め物や揚げ物には、陸の油であっても性質の違うオメガ9系脂肪酸に属するオリーブオイルや、次号で紹介するココナッツオイルを上手に利用するのがいいと思います。
牛肉、豚肉、鶏肉どれがいい?
 肉には牛肉、豚肉、鶏肉などがあります。さて、どの肉を多く摂取するのがいいのでしょうか?最近、サーロインステーキなどを好んで食べる人は長生きするから、魚より肉を食べた方がいいんだとマスコミや本で主張する人がいます。豚肉や鶏肉にはアラキドン酸が多いのですが、牛肉にはあまり含まれていません。その点では、牛肉を好んで食べる方に元気な方が多いのは、アラキドン酸の少ない良質な蛋白質を摂取しているからだろうと推察されます。かと言って、肉より魚の方が体にいいと考えるのは間違っています。
 豚肉にはビタミンB群が豊富ですし、鶏肉は牛肉に比べてコレステロールが少ないといういい面もそれぞれあります。牛肉、豚肉、鶏肉のどれが一番いいといっても、順番はつけられないかと思います。3つの肉をバランスよく摂るのがいいのでしょう。ただ調理する際に用いる油には前述したような注意が必要です。肉を食べる時にはできるだけ、しゃぶしゃぶにしたり、湯通しして、油を使わない調理をすることも大切でしょう。
「海の油」EPA・DHAを積極的に摂取しよう!
 EPAは血液をサラサラにして、血栓ができるのを防ぐ働きがあります。一方、DHAは脳の炎症を抑えたり、脳の働きを良くする働きがあります。また、EPA・DHAともに炎症を抑えたり、免疫力を高めたり、脂質代謝を改善する作用もあります。EPA・DHAは体内では合成されないため、食品からしか摂取できない、いわゆる必須脂肪酸です。日頃から、EPA・DHAを多く含んでいる食材、魚介類や海藻を積極的に食事に取り入れて下さい。特に、まぐろ、さんま、さば、いわし、あじ、かつお、ぶりなどに多く含まれています。魚の油の成分ですので、油の乗ったものの方がより豊富に含まれています。ただし、EPA・DHAは、熱に弱く酸化しやすいので、調理方法としては生で食べるお刺身が最適といえます。
サバ②.jpg お魚が苦手だったり、自宅で調理するのが面倒という方はどうしたらいいでしょうか?EPA・DHAを多く含む魚以外で、オメガ3系脂肪酸が豊富な食品があります。オメガ3系脂肪酸には、αリノレン酸という体内で消化・分解されてEPAやDHAになる脂肪酸があります。αリノレン酸を多く含む油には、エゴマ油、亜麻仁油、インカインチオイル(サチャインチという植物を原料とするオイル)、チアシード(南米原産の種子)などがあります。これらを加熱しないように上手に料理に取り入れて、オメガ3系脂肪酸を摂取すると良いでしょう。

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