頭痛もちは四千万人~前編~ 院長&スタッフブログ | 医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック

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頭痛もちは四千万人~前編~

 クリニックでは、頭痛の訴えで来院される患者さんをよく見かけます。脳腫瘍ではないか、脳出血ではないかと気にされる患者さんには、頭部CT検査を行います。脳に何か異常があることはほとんどありません。開業して十五年になりますが、脳腫瘍が見つかったのはわずかに2例のみです。頭痛については今から十一年前、第52号『頭痛もちは三千万人』というタイトルでこの新聞で取り上げました。最近の知見も交えて、今回と次回の2回に分けて頭痛をテーマにお話しします。
 現在の日本では、いわゆる"頭痛もち"と呼ばれる方は約四千万人に及んでいます。そのうち7~8割が『緊張型頭痛』、2割が『片頭痛』です。もう一つの『群発頭痛』を合わせて、頭痛もち三兄弟といいますが、群発頭痛は年間で1万人に1人という発症頻度です(私は出合ったことはありません)。今回は、一般的な前二者を取り上げます。
ストレスが引き起こす『緊張型頭痛』
 緊張型頭痛は頭痛もちの7~8割を占めます。中高年に多く、女性にも男性にもよくみられる頭痛です。後頭部から首筋にかけて痛むことが多いですが、頭全体や鉢巻き
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様に痛むこともあります。痛み方は、頭を締め付けられような圧迫感、緊迫感、頭重感が特徴で、「鉢巻きをしているような」、「帽子をかぶされているような」、「頭に重石をのせられているような」感じになります。めまいやフラツキ、目の疲れ、全身のだるさを伴うこともあります。頭や首の周りの筋肉のコリ、精神の緊張から起こる頭痛で、頭痛の頻度は月に数回から毎日と様々です。午後から夕方4時くらいにかけて増強する傾向があります。片頭痛が発作的に起こるのに対して、緊張型頭痛はいつとはなしに始まり、だらだらと持続します。片頭痛は「夕立」、筋緊張型頭痛は「梅雨空」のような頭痛とたとえられます。
 緊張型頭痛は筋肉の緊張が原因の頭痛ですので、マッサージや入浴、運動によって症状の軽快が得られます(片頭痛では逆に増悪します)。肩こりや、あごの痛みや開口障害のみられる顎関節症を伴うこともしばしばです。緊張型頭痛は、精神的なストレスや身体的なストレスの両方が誘引になって起こります。ストレスにより頭の回りの筋肉が緊張すると、筋肉の血液の流れが悪くなり、乳酸やピルビン酸といった老廃物が貯まってコリの状態となり、痛みを起こすようになります。この痛みがさらに血流を悪くしたり、ストレスを助長するため悪循環に陥り、頭痛がだらだらと続くことにもなります。一日中コンピュータに向かう仕事をする人などでは、首や頭の回りの筋肉に負荷がかかり、この身体的なストレスも頭痛を引き起こします。ゲームやスマートフォンの普及とともに、若年層でも緊張型頭痛が増えているようです。枕が高すぎることも緊張型頭痛の原因になります。
緊張型頭痛の薬物治療
 痛みを緩和させるための鎮痛剤を用いるほか、筋肉の過剰な緊張をゆるめる筋弛緩薬(テルネリン、ミオナール)や抗不安薬(エチゾラム、セルシンなど)が用いられます。鎮痛剤は服用し過ぎると、胃腸障害や肝機能障害を起こすことがありますので、注意が必要です。筋弛緩薬や抗不安薬は眠気の副作用が出ることがあります。また、抗うつ薬を使って、痛みの閾値をアップさせ、痛みの過敏さを和らげる治療が有効なこともあります。日頃から、首や肩、背中が張ってきたら、体を動かして筋肉の緊張を解きほぐして、頭痛に至らせないようにすることが大切です。
女性に多い『片頭痛』
 『片頭痛』というくらいですから、頭の片側が痛むことが多いのですが、実は両側が痛むことも少なくありません(4割で両側が痛む)。頭の片側のこめかみから眼のあたりが痛み、ひどくなると頭全体が痛みます。後頭部が痛む片頭痛もあります。頭表面を走っている血管が腫れて痛む頭痛のため、脈が打つように「ズキンズキン」、「ガンガ
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ン」といった頭痛になります。「頭の中に心臓があるようだ」と訴える患者さんもいます。痛みがひどくなると脈打つ感じではなく、持続的な痛みとなります。片頭痛の半分の患者さんでは拍動感を感じません。
 片頭痛は女性に多く(男性の4倍)、生理や排卵に関連して現れることが多く、妊娠中には逆に頻度が少なくなります。思春期ころから多くなり最盛期は30歳代で、60歳を過ぎると少なくなります。月に数回、夕立のように発作的に起こります。日常生活に支障を来たすような痛みで、寝込んでしまう患者さんも多いと思います。階段の昇降、入浴などの日常的な動作、運動、首や肩のマッサージなどにより頭痛が増悪するのが片頭痛の重要な特徴です。発作は4時間から72時間持続し、しばしば吐き気や嘔吐を伴います。光や音に敏感になるのも特徴です。光がまぶしくなり、周囲の音や声が頭にガンガン響くため、発作中は暗い静かな所を好みます。片頭痛の20%では「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる前兆が現れることがあります。視界にチカチカした光(閃輝)が現れ、これが拡大して元のところが見えにくくなります(暗点)。閃輝暗点は20~30分続き、これが終わるころから頭痛が始まります。
チョコ①.jpg 片頭痛の誘因は人によって様々です。ストレスは有力な誘因ですが、ストレス中は血管が緊
張しているため頭痛は起こらず、ストレスから開放された時に血管が緩んで片頭痛が起こります。ストレスが開放される週末になると片頭痛が起こり、楽しみをフイにしてしまうこともあります。血管を緩めるチョコレート、ワインなどのアルコール、チーズ、柑橘類、ナッツなどの飲食物も誘因になります。血管を拡げる高血圧や狭心症の治療薬も片頭痛を誘発します。人ごみや騒音、まぶしい光なども原因となります。
 こういった誘因が顔面や頭部を支配している知覚神経『三叉神経』を刺激します。すると、三叉神経の終末部から痛みの原因物質が血管に放出され、この物質が血管の拡張と炎症を招き、頭痛が起こるわけです。
片頭痛の薬物治療
 片頭痛の発作時に欠かせない薬がトリプタン製剤(マクサルト、ゾーミック、イミグランなど)です。痛みだけでなく、脳の興奮を抑える片頭痛の特効薬です。服薬のタイミングが大切です。生あくび、肩こり、光・音・においに敏感になる、吐き気がするなどの予兆症状や、閃輝暗点の前兆があったら、すぐに服用します。予兆や前兆がない場合は、痛み始めたら早めに服用しましょう。片頭痛の場合、痛みがピークになってからの内服では、特効薬と言えども効きません。まずは1錠服用して、それでも十分な効果がなければ、2時間以上間隔をあけて、もう1錠服用します。トリプタン製剤は値段が高く、3割負担で1錠あたり200円から300円です。ですが、発作のたびにトリプタン製剤で脳の興奮をきちんと取り去れば、将来の脳過敏症候群(次号でお話しします)への移行を防げます。それを考えますと、トリプタン製剤による治療は大切ということになります。
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