頭痛もちは四千万人~後編~ 院長&スタッフブログ | 医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック

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頭痛もちは四千万人~後編~

 前回は緊張型頭痛、片頭痛についてお話しいたしました。今回は新しい疾患概念『脳過敏症候群』を取り上げます。私自身も今回、頭痛の勉強をし直して初めて知った疾患名です。私の診ている患者さんの中にも、この病態に当てはまるような方もいらっしゃると思いましたので、紹介したいと思います。
『脳過敏症候群』とは?
 2011年、東京女子医科大学脳神経外科の研究チームが、頭痛に関する長年の臨床経験から提唱した、頭痛の診断の新しい考え方です。
 脳過敏症候群は、片頭痛などの一般的な頭痛もちの患者さんが、長期間くり返し鎮痛剤を使い続けるなどの不適切な対応を続けることで、引き起こされます。反対に、「頭痛なんか病気じゃない、がまんしていれば治るはず」と何の治療もせずに放置していても引き起こされます。日本では欧米に比べると頭痛を病気として認識していない方が多く、慢性的な頭痛があるのに医療機関を受診しないケースが多いようです。
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 脳過敏症候群の症状としては、耳鳴り、めまい、難聴の他に、不眠症状、不安感、抑うつ感などがあります。物忘れが激しくなる、イライラして攻撃的になる、奇行を繰り返すというケースもあります。また、認知症、うつ病、パニック障害だと思われていた人が、実は脳過敏症候群だったというケースもあるようです。
 私が診てきた患者さん、特に女性に多いのですが、前記のような症状があって、頭のCTやMRI検査でも異常がなく、耳鼻科で診てもらっても特に異常を言われないという患者さんがこの病態に当てはまるのではないかと思っています。
脳過敏症候群の原因
 一般的に、片頭痛の痛みは、年齢を重ねるとともに減弱していくことが多いです。片頭痛は、脳の血管が異常に拡張して、血管周囲にあるセンサーの役目を果たしている
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三叉神経への刺激が元になり、大脳が興奮することが原因で起こります。ところが、中高年になると、脳の血管は動脈硬化を起こし、異常な血管拡張が起こりにくくなります。そのため、三叉神経への刺激情報を伝わりにくくなって、痛みが減弱するというわけです。
 しかし、痛みが減弱しても大脳の興奮が鎮まったわけではありません。片頭痛の度に大脳が興奮を繰り返すと、後頭葉や側頭葉、さらには視床という感覚の中枢から、小脳というめまいや平衡感覚に関連した部位にその刺激情報が繰り返し伝えられます。結果として、脳の各部位は正常に働かなくなり、前述したような脳過敏症候群の症状が引き起こされると考えられています。
脳過敏症候群の診断
 どの診療科を受診しても、「原因がわからない」「不定愁訴」などといわれ、たらい回しにされ、症状を抑えるための薬を次々に処方されてきた患者さんが多いようです。そうした症状も脳の過敏性の高さによるものだと分かれば、適切な治療も可能です。
 まず、大切なのはこれまでの症状や経過などをきちんと聴取する問診です。次に症状に応じて、頭のCT検査、MRI検査を行って、他の病気でないかを調べる除外診断が必要です。その上で、脳過敏症候群が疑われた場合は、脳波検査を行います。脳波検査は、覚醒時と時に睡眠時の記録をそれぞれ20分程度行います。あらゆる周波数の光刺激を行い、後頭葉からの刺激波が脳のどのあたりまで波及するかを観察し、診断していきます。
 南信地区で、こういった診断ができるのは、日本頭痛学会認定頭痛専門医のいる昭和伊南総合病院脳神経外科や、瀬口脳神経外科病院になります。自分が脳過敏症候群ではないかと思われる方は紹介いたしますので、お申し出ください。
脳過敏症候群の治療
 脳過敏症候群の治療は、根本にある脳の興奮を鎮め、過敏さを和らげていく薬物療法が基本になります。抗てんかん薬、抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)などを投与し、まず、脳の興奮を抑えます。脳の興奮が鎮まると、一時的に本来の頭痛発作が出ることもありますから、その際は前号で紹介したトリプタン製剤を服用します。元の片頭痛発作が頻回になることはないそうです。
 慢性的な頭痛に悩んでいても、医療機関を受診せず、市販の頭痛薬で対処している方が多いかと思います。月に1~2回程度の頭痛発作であれば問題ありませんが、10回以上の発作がある方は、医療機関を受診しましょう。また、「薬を飲まずにがまん!」という対応は、さらに問題です。過去にそのようなことをしていて、耳鳴り、めまい、難聴、不眠、不安感などの症状がある方は、脳過敏症候群に移行している可能性があります。医師にご相談ください。
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