認知症に向き合う~前編~ 院長&スタッフブログ | 医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック

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認知症に向き合う~前編~

 クリニックを開業してこの4月で十六年目を迎えました。開業当初より通院してくれているMさんという九十一歳の男性の方がいらっしゃいます。背筋がすっと伸びていて、声もしっかりされていて、七十歳でも通るような若々しい方です。Mさんは診察の度に「すずらん新聞はいい。いつも楽しみで読ませてもらっている。」と誉めてくれます。4月の初めに受診された時「先生、今度は認知症のことを書いてくれや。」と言われました。何度か認知症のことはこの新聞でも取り上げているのですが、Mさんの頼みとあっては断れません。『認知症と向き合う』と題して、3回に渡ってお話したいと思います。
認知症とは? 認知症を疑う症状は?
 外来で七十歳以上の患者さんともなると「最近、人の名前が出てこなくなった。物の置き忘
れが多くなった。認知症が心配だ。」という声を聞きます。そんな時によく行うのが欧米では標準的な認知症スクリーニング検査であるMMSEです。Mini-Mental State Examinationの略称で、言語性設問の他に、紙を折る問題や文章や
認知症①.jpgのサムネール画像図形を書く問題などの動作性の設問があります。総計11問で30点満点になっています。24点以上で正常と判断します。MMSEに加えて、頭のCT検査も行います。ほとんどの場合、MMSEは合格点で、頭のCT検査では年齢相応の委縮がある程度で、認知症とは診断されない、
いわゆる加齢に伴う物忘れと診断する場合が多いです。MMSEが23点以下で、頭のCT検査で萎縮が目立ったり、小さな脳梗塞の跡が多発している場合は認知症を疑い、専門医に紹介することになります。
 認知症とは「脳の病変によって、記憶を含む複数の認知機能が後天的に低下し、社会生活に支障をきたすようになった状態」です。人の名前がなかなか出てこないくらいは心配ありません。ところが、自分が体験したことそのものを忘れてしまうという状態は、本人にとってその体験は存在しない、つまりヒントがあっても思い出せないことになるので、認知症が疑われます。記憶障害の他に大切なポイントは、その人らしさが失われたかどうかという点です。以前は問題なくできていた仕事や家事がうまくこなせなくなった、通い慣れた道なのに迷うことがある、身だしなみを気にしなくなった、などです。
 新しい事が覚えられないので、日常的に同じことを繰り返し聞いてくる。物をしまった場所を忘れるので、探し物が多くなり、やがて誰かが盗ったという妄想へとつながりやすくなります。やる気を失って、うつ状態になる場合もありますし、においに鈍感になる点も前兆として大切です。
 認知症の初期には、本人は戸惑いや不安を自覚することが多く、何とか取りつくろって、その場を切り抜けてしまうことが多いです。相手の話に合わせて「そうそう、それだった」などと思い出したふりをする場合もあります。ですから、電話での応対では多少やり取りに不自然なところがあっても、それなりにしっかりした会話ができてしまいます。認知症を初期に見つけるには、数日一緒に生活してみて、自分の目で色々を確かめることが大切です
認知症を疑ったらどうすればいいか?
 私が定期的に診ている患者さんの家族から、時々「最近物忘れが多く、認知症が心配だ」とこっそり連絡があります。この場合は、受診した際に「何々さん、お歳もお歳だし、脳の働きもチェックした方がいいから、ちょっと検査しておこうかね」とお話して、前述したMMSEと頭のCT検査を行います。このパターンは大丈夫です。ところが、日頃かかりつけ医がなく、自分の親に認知症が疑われた場合は、ちょっとやっかいになります。たいていの親は、自分の子供に「認知症では?」と言われれば怒り出すことが多いからです。親としてのプライドがあるから当然と言えば当然です。だからと言って、本人にごまかして認知症専門の医療機関に連れて行った場合、初期であればあるほど、認知症の人はすぐにだまされたことに気づき、その後はどんなに説得しても病院には行かない可能性があります。家族との信頼関係が崩れ、家庭内では家族を攻撃するような悲惨な状況になることもあります。
 どうすればいいのでしょうか。いきなり認知症専門の医療機関に連れていくようなことはせず、近場の開業医の先生のところに健康診断という口実で受診してもらって、認知症の検査も合わせてやってもらうというのがいいかと思います。そこで、認知症が疑われれば、改めて専門の医療機関に紹介してもらう、これが無難な方法かと思います。そういった意味で、定期的にかかるような病気がなくても、風邪などをひいた時に面倒をみてもらう、かかりつけ医を作っておくことは大切といえると思います。
誰もが認知症からは避けられない!
 ちょうど1年前のすずらん新聞第169号『認知症予防と健康長寿のツボ~前編~』でも取り上げました。2012年での認知症患者は462万人でしたが、今から8年後
認知症患者推計2.jpgのサムネール画像
の2025年には認知症患者は約1・5倍の700万人になると推計されています。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)を加えると、約1300万人となり、65歳以上の3人に1
人は認知症患者とその予備軍となるわけです。日本を代表する神経内科医で、東京女子
医科大学名誉教授の岩田誠医師は「人間には二通りの生き方しかない。認知症になるまで長生きするか、その前に亡くなるか。」と。長生きしたいなら、できるだけ認知症の期間を短くして、
健康長寿を目指すしかないわけです。そこで、私が提案したのが『認知症予防と健康長寿のツボ五箇条~長寿遺伝子を活性化させる生活を~』です。詳しくは第169号、170号を参考にしていただきたいと思います。
 次回は、認知症患者の増加に伴う社会的な問題を取り上げてみたいと思っています。



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