食が子供をむしばむ~前編~ 院長&スタッフブログ | 医療法人すずらん まえやま内科胃腸科クリニック

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食が子供をむしばむ~前編~

 自閉症、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害などの発達障害の子供が急増しています。アトピー、喘息、食物アレルギーなどアレルギー疾患の子供も増えています。この二十数年の間に子供による犯罪の急増にも、目を覆いたくなるものがあります。以前、すずらん新聞142~144号『メディア媒体が脳を脅かす』で取り上げましたが、テレビ、ビデオ、テレビゲーム、インターネット、携帯電話なのメディア媒体も大きな要因でしょう。
 最近、『給食で死ぬ!!』というかなり過激なタイトルの本を読む機会がありました。また、食の安全性に関するセミナーを受ける機会にも恵まれました。今回は2~3回に渡って、『食が子供をむしばむ』というタイトルでお話しさせていただきます。
給食を変えたらいじめ・非行・暴力が消えた長野・真田町の奇跡!!
 前述した本の副タイトルです。著者は大塚貢(みつぐ)、長野県生まれで信州大学卒業、中学校教員、東京での会社員生活を経て、平成4年に真田町の中学校校長に赴任しました。当時の様子ですが、中学校校舎内外に落ちているタバコの吸い殻を集めると、1~2
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時間でバケツ1杯分になったそうです。生徒は授業を抜け出し、外で群れてタバコを吸ったり、弱い物をいじめて現金を巻き上げたり・・・さらには学校外で空き巣をしたり、一人暮らしのお年寄りの家に行って脅したりする生徒もいて、ひどい状態でした(あの名将を生んだ真田家の町とは思えませんよね)。この校長がまずやったのは授業の改革です。「先生方の授業を見せてもらったけれど、ひどいよ。あれでは給料泥棒だよ。」とゲキを飛ばし、お互いの授業を見せ合って「分かる、できる、楽しい授業」を目指して、教師に切磋琢磨させました。教師側の努力で授業は改善し、非行や不登校も少なくなりましたが、大塚校長は他にも原因があると考えました。
 各競技大会に同伴して、大塚校長が気づいたことがありました。お昼にコンビニ弁当やカップラーメンを食べている生徒がいたということです。そこで競技大会の朝、5時から会場近くのコンビニ前で張り込んで様子をうかがいました。すると、親子が次々と車で乗りつけて、コンビニ弁当、カップラーメン、菓子パン、清涼飲料などを購入していました。このような生徒の多くが、おしなべて非行問題を起こしたり、いじめる側であったり、キレやすく、学習に無気力といった子供だったのです。そこで大塚校長は、食の現状調査を行いました。生徒の38%が朝食を摂らずに学校に来ていました。朝食を摂っていたとしても、菓子
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パン、ハム、ウインナー、化学薬品で味付けされたジュースなど・・・夕食にはレトルトカレーや焼き肉が多いというデータでした。コンビニ食品による食生活で栄養が偏り、野菜不足により必要なビタミンも摂取できていない、朝食を摂らない、これでは酸素や栄養分を最も必要とする脳は正常に働くはずがありません。イライラし、無気力になり、非行に走ったり、勉強する気も沸かない・・・そこで、大塚校長はPTA会合を開いて、食の現状や食生活の重要性を説明しました。ところが、若いお母さん方、特に問題を起こしている子供の親御さんほど、まるで理解してもらえませんでした。
給食を変えるしかない!
 このような状況の中で、大塚校長は一大決心をしました。「家庭で難しいなら、学校で食を変えるしかない」と。それまでの給食というと、子供も教師も好きな「菓子パン」「揚げパン」がありました。さらに主食は、中華麺、スパゲッティ、ソフト麺などで、ご飯は1週間に1度程度、副食は肉が主流という状態でした。これでは、家庭と学校の食事がほとんど同じです。そこで、主食はご飯にして、さらに副食は魚や野菜たっぷりのものに変えようとしました。生徒の健康を憂慮していた栄養士のI先生が、給食の変革にさっそく取り組みました。魚臭いイワシの甘露煮を出した時には、保護者のみならず、教師からも猛反発にあったそうです。「校長、あなたが給食費を出してくれるなら好きにやってもらっていいが、給食費は私たちが出しているんだ!」「今度の校長は疫病神だ!」と。
 そんなある時、栄養士のI先生が、32歳の若さで心筋梗塞で亡くなった人の心臓の生体写真を借りてきて、教師と保護者、さらに子供達に見せました。動脈にコレステロールが付着し、まるで石膏のようでした。心臓の周りにもたくさんの脂肪が付着しているのが分かりました。大塚校長は、「若くして死にたいなら、今までのような食事にしとけ!」と言い放ちました。この出来事から、食の改善に理解を示す教師、生徒が増えていきました。そして、大塚校長は、1週間の5食すべてを米飯に切り替える決断をしました。
子供達が本を読みだした!
 少しずつ、やがてははっきりと変化が見えてきました。まずは「読書の習慣」です。荒れている時には、子供はとうてい本を読む気にはなりません。ところが、給食内容を変えてしばらくした頃、休み時間になると、子供達がみな図書室に行って、本を読むようになったのです。図書室にある120の椅子が瞬く間に生徒で一杯になり、椅子が満席になると、床に腰を下ろして読んだり、廊下に出ても読んでいま
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す。感動的な光景でした。図書館司書の先生の努力もあったのですが、給食の変革がもたらした成果でした。読売新聞社の「全国小中学校作文コンクール」でも、特に何の指導もしないのに、毎年のように全国で1位、2位に入選するようになりました。
 大塚先生は校長を退任後、教育長として生徒に花作りをさせたり、無農薬、低農薬の素材を使った給食を実現させ、非行ゼロを実現させています。
 皆さん、給食を変えただけでまさかと思うかもしれません。この本を読んで、今から40年前の私の中学校時代を思い出しました。私が宮田中学1年生に上がってすぐに、新校舎に移りました。そこでは、全学年が一同に会して昼食ができるフロアがあって、給食センターからの配給ではなく、隣接する厨房で昼食が作られ、主食が米食という長野県初の試みがなされました。当時、中高校生の非行が社会問題化してきた時代でした。近隣の中学でも非行による事件が聞こえてきましたが、宮田中学では非行問題は全くありませんでした。米食が脳を健全化していたのかなと感じています。
 次回も、現代の食生活がいかに子供たちの脳をむしばんでいるかをテーマにお話しします。
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